仕事ができる人ほど疲れない? パフォーマンスを最大化する「メタ認知」とは【脱・疲労回復「疲れないしくみ」をつくる脳の習慣】

「メタ認知」がうまい脳は疲れにくい

自分の行動を客観視する力

 トップダウン処理の能力を高めるためには「メタ認知」も重要です。メタとは「高次の」「一段上の」という意味の言葉で、メタ認知は、自分の思考や感情、行動をより高い視点から俯瞰し、認知することを指します。

 例えば、自分がプレゼンをしている最中に「今、相手は納得しているな」「この話はあまり受けがよくなさそうだ」と気づけるのは、メタ認知が働いている証拠です。メタ認知能力が低いと、相手の反応や周囲の状況の変化に注意を向けることなく、自分の感情や思考の流れだけに身を任せた独りよがりなプレゼンになりかねません。注意を一点に集中させているわけですから、脳を酷使している状態になります。

 メタ認知能力が高い人は、自分の置かれている状況を高いところから客観視し、注意を分散できているため、プレゼンの質が高まるばかりか、結果として脳の疲労を防ぐことができるのです。

 メタ認知能力は、日常では「空気が読める」「気が利く」などと評される人物に備わっていることが多く、先を読み、大局を見て言動行動を起こせるのもこの能力によるものです。対人関係が円滑化し、脳の疲労まで防げるのですから、メタ認知能力を鍛えない手はありません

 メタ認知のコツは「一点集中になりすぎないこと」です。例えば会議中に、相手が発する言葉の一字一句をすべてインプットしようと力むのではなく、「自分は今どんな姿勢で話を聞いているか」「相手の声色から真意を探ってみよう」などと少し俯瞰的に観察してみる。すると、脳の注意が分散され、余裕を持って全体を把握できるようになります。

「0.5秒先」を読む意識が疲れない効率を生む

 優秀なセールスパーソンほど、メタ認知能力が高いことがわかっています。顧客と相対して話しているとき、注意の総量を「10」とするなら、相手の話を3~4くらいの意識で聞きながら、残りの6~7をどう配分するかをリアルタイムで調整しています。相手が発する言葉の内容だけでなく、表情、声のトーン、沈黙の間、視線の動きなど、これらを同時に観察しながら、「この人はどんな話題に関心がありそうか」「相手が不安に感じているポイントはどこか」を常に探っているのです。

 これだけ聞くと「話を集中して聞いていない」「顧客に対して不誠実」と思われるかもしれません。しかしながら、それは全くの逆です。相手の話にすべての注意を注ぎ込んでしまうと、脳は余裕を失い、顧客が発する大切な情報を取りこぼしてしまいます。相手の話を3~4で聞きながら、残りの6~7に幅広く注意を払える人のほうが、目の前の顧客の真意に沿った、高い価値を提供することができるわけです。

 このことは、スポーツの世界にも共通します。一流のサッカー選手は、常に自分を含めたフィールド全体を俯瞰しています。ボールを持つと同時に、味方の位置、相手ディフェンダーの間合い、ゴールまでのルートを頭の中で瞬時にマッピングしている。いわば、プレー中も自分を外から観察している状態です。これができる選手は、その場に最適な判断を下し、「0.5秒先」を読む動きができるのです。

 メタ認知とは、単に客観的に自分を見つめることではなく、注意の向け方を意識的に設計する力でもあります。このバランスを保てる人ほど、脳のエネルギーを効率よく使い、疲れずに高いパフォーマンスを発揮できるのです。

【出典】『脱・疲労回復 「疲れないしくみ」をつくる脳の習慣』著:梶本修身

【書誌情報】
『脱・疲労回復 「疲れないしくみ」をつくる脳の習慣』
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