【2026WBC】侍ジャパン井端弘和監督の「勝負哲学」世界連覇へ繋がるスモール・ベースボールの原点とは【野球観/井端弘和著】

世界連覇へ。井端弘和が描く、勝利への『盤面』とは
2026年、再び野球界が熱狂の渦に包まれるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が開幕します。
前回大会の王座を守るべく、侍ジャパンを率いるのは井端弘和監督。短期決戦という過酷な舞台でいかにして勝利を手繰り寄せようとしているのか。ファンのみならず、全ての野球ファンがその采配に注目しています。
今回は、日本文芸社から刊行の井端監督著書『野球観 〜勝負をわける頭脳と感性〜』より、大舞台に挑む井端監督の思考を読み解くべく本書の一節を特別に抜粋してご紹介します。最強のライバルたちを打ち破るために必要なのは、データか、それとも感性か。その答えの一端がここに。
高校で叩き込まれた、スモール・ベースボールのノウハウ
私にとって、最初に野球観らしきものが芽生えたのは高校時代だった。
打ったり投げたりというのは本能と運動神経があれば誰にでも出来ることだが、それを上手く使いこなすための野球観というのは、最初の入り口は、誰かが教えてくれなくてはわからない。私にそれを教えてくれたのは、堀越高校時代の恩師・桑原秀範監督だ。
良くも悪くも、高校時代の指導者というのは、選手にそれぞれの野球観を植えつける存在だろう。
桑原監督はかつて母校の広島商業を率いて、1982年の夏、甲子園準優勝という成績を残されている。その後、堀越高校の監督に就任し、私が入学した当時の堀越は、東京の強豪校の一角に数えられていた。私も2年生の春と3年生の夏、3年間で2度、甲子園に出場させてもらった。
広島商といえば伝統的に緻密な野球、まさに高校野球におけるスモール・ベースボールの象徴のような存在。私は入学した時から、「お前はこういうことをやれ」と桑原監督から徹底してスモール・ベースボールのノウハウを叩き込まれた。
バッティング練習は、気持ち良く引っ張って打球を飛ばしたことなど一度もない。窮屈に肘を畳み、決して身体を開かず、おっつけて反対方向へ打球を飛ばす。
右打者が右方向に打つには、ボールを捉える時のバットの角度が重要になる。よくヘッドの部分を削って平面を作った特製バットを使って打たされた。芯(平面部分)で確実に捉えないと打球は飛ばない。ゴルフのように、地面に置いたボールを右方向に打ち返す練習もした。それらはすべて、右方向に打つためのスイングを身体に覚え込ませるための反復練習だ。身体の使い方が身に付いたら、それを無意識にでも出来るようにするために、ティーバッティングでいろんな角度からトスを上げたり、高速に設定したマシンを至近距離から打ったりして、変化球で体勢が崩されようが、速球に振り遅れてようが、とにかくバットに捉えられたら打球が右方向に飛んでいくような練習をしていた。
最初のハードルは、どうやったら上手く右方向に打てるのか。それが出来てきたら、もっと質の良い打球を打ちたいと考え始める。ボールに上手く力を伝えられずゴロしか飛ばないので、ライナー性の打球を打つにはどういう打ち方をしたら良いのか。なおかつ、フライにならないように……。そうやって、技術のステップを踏んでいく。
守備でも漠然とノックの打球を受けているわけではない。
たとえばショートを守る私が外野との中継プレーに入る時、監督から教わったのは、「外野手が打球を捕る時の体勢を見る」ということだ。真っ直ぐ前に出て来てグラブに入れたのであれば、そのままステップを踏んで強いボールを投げられる。だからカットマンは比較的浅めの位置で送球を受けたらいい。
逆に守備位置の間を抜けるような打球の時には、外野手も半身になって捕ることもあるので、打球を追いかけている時の勢いのままボールを投げられるわけではない。そしたらショートバウンドになったり、遠くへ投げようと思って高いボールになってしまったりする可能性があるので、なるべく深い位置までカットに入って、外野手の投げる距離を短くしてあげたい。フェンスに届くような打球の時には、外野手がしゃがんでボールを素手で拾おうとすることがある。そこから立ち上がって強いボールが投げられる選手はいないから、内野手の塁間くらいの距離まで一気に詰めてしまう。
なおかつ外野手が捕って目線を上げた時に、自分が投げる距離がしっかり確認できるように、近くても遠くても、カットの位置に速く入っていくこと。
そういう野球を追求していくことが、当時の私には楽しかった。
私は主にショート、二遊間を守っていて、外野手を経験したことはなかった。それでも「もし外野の守備に入ることがあったら、自分ならどう動くか?」というのを、ショートの視点から常に考えていた。
高校に入るまではピッチャーをしていて、内野手をやったことがなかった。ショートで初めて内野を経験した時に、ダブルプレーなどで二遊間の連係プレーがあるので、「セカンドから見て、俺のプレーはどう思われているんだろう?」という疑問が湧き、「セカンドの動きはどうなっているんだ?」という興味が生まれた。それで監督から「セカンドの練習もしておけ」と言われて実際にやった時に、「あぁ、こうなんだな」と気付いたことが多かった。
だから今度は、外野の守備にもたまに就くようにしていた。フェンスに向かってボールをポーンと投げて、跳ね返ってきたボールを拾って振り返った時に、カットマンがどこの位置にいたらいちばん投げやすいのかを考えたりしていた。
レフトやライトの両サイドに飛んだ打球は意外と捕ってから振り向きざまに投げやすくて、右中間、左中間の間を抜けた打球のほうが投げにくいということも、そのときに気付いたこと。 それをショートに入った時に応用していただけのことだ。
一例に過ぎないが、こういう練習の中で身に付いた技術や感覚が、私の”野球観”の土台になるものだった。
桑原監督はよく「一流の投手はそうそう打てない。打てなくても点を取るにはどうしたらいいのか?」「自分たちより強いチームに勝つには何が必要なのか?」と話しておられた。そのための”右打ち”であり、”防げる失点を防ぐ守備”。まさにスモール・ベースボールの発想だった。
【出典】『野球観 〜勝負をわける頭脳と感性〜』著:井端弘和
開幕が迫る2026年大会。井端監督が説く「頭脳と感性」が融合した時、侍ジャパンは再び世界の頂に立つことができるのか。その戦いを見届けるための「視点」を、ぜひ本書から受け取ってください。
【書誌情報】
『野球観 〜勝負をわける頭脳と感性〜』
著:井端弘和
「2026 WORLD BASEBALL CLASSIC™」監督・井端弘和氏による著書!
東京五輪で金メダルを獲得した野球日本代表“侍ジャパン”の内野守備・走塁コーチ、井端弘和。
現役時代は荒木雅博と「アライバコンビ」を組み、現役引退後は巨人・高橋由伸監督の下でコーチを経験。
現在は社会人野球の指導を行うなど「育成手腕」が高く評価されている。
そんな野球界が誇る“名参謀”が、“コーチ”の重要性、存在意義について語る一冊。
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