土佐で生まれた貴重なニワトリ「オナガドリ」の尾羽は最高13mもある!?【眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話】


オナガドリの尾羽は最高13mの記録がある
土佐で生まれた貴重なニワトリ
日本には、世界一長い尾羽を持ったニワトリが存在します。その名は「オナガドリ」で、国の特別天然記念物に指定されています。その歴史は江戸時代、土佐藩主の山内家が参勤交代の行列で振りかざす、毛槍に用いる長いニワトリの尾羽を農民から集めたことに始まります。
土佐で床屋をしていた武市利右衛門が飼っていた「小国」という品種の地鶏に突然変異が起こり、それをかけ合わせて生まれたのがオナガドリのルーツだとされています。地鶏と、キジやヤマドリを交配して生まれたとされる説もありますが定かではありません。
ニワトリは年に1回、新しい羽毛に抜け替わ換羽現象が起こりますが、オナガドリのオスには尾羽だけ抜け替わらずに伸び続ける性質があります。健康な若いオス鶏だと1年に80cmも伸びるので、長生きすればするほど長い尾羽になるということです。
当時の尾羽の長さの限界は3m程度でしたが大正時代に「止め箱」と呼ばれる縦長の飼育箱が開発されました。鶏の動きを制限することで尾羽の損傷を防ぐものです。これにより、尾羽の長さがさらに伸ばせるようになりました。1974年に13.5mという最長記録がありますが、近年は近親交配の増加の影響により尾羽が短くなっている傾向があります。
国の特別天然記念物・オナガドリ
尾長鶏、長尾鶏とも呼ばれます。昭和27年に国の特別天然記念物に指定されました。寿命はおよそ8~10年ですが、これまでの最高年齢は18歳。尾の長さは13.5mにまで達しました。鶏自体の全長は37cmしかありませんでした。

止め箱
大正時代から使われるようになった、縦長の飼育箱。鶏の動きを抑制し、尾羽が損傷しないように保護できる。尾羽は一度抜けてしまうと再び生えてくることはない。
主なオナガドリの種類
褐色種
明治時代に入ってから白藤種と東天紅鶏を交配してつくられたとされている。戦時中に一度絶滅した種でもある。
白色種
明治中頃、小国鳥からの突然変異でつくられたとされる真っ白な羽毛を持つ品種。
白藤種
羽毛の色が白・黒・緑色の3色を持つ品種。当初は羽が白・黒・緑・黄・褐の色を持ち、「五色鶏」と呼ばれていた。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』監修:小宮輝之
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』
監修:小宮輝之
飼うこと、食べること、動物園・水族館・花鳥園などでの鑑賞、身近にいる野鳥など、寿命が長い上、インコやオウムなどは話したり、歌ったりとコミュニケーションもとれることから、日本には愛鳥家も多く鳥関連のイベントも定期的に開催されており、動物類のなかでもコアファンが多い生き物です。
鳥類は恐竜時代から大量絶滅を唯一生き延びた動物のため、歴史も古く、進化の過程で飛ぶ・飛ばないをはじめ、大きさや形、色、生息地域も異なり、外見も内面も個性豊か。
社交性も高い上、カラスやオウムなどは知能も高く、行動学の観点でも面白い特徴が多く見られます。
「約1万種類いる鳥類の半分はスズメの仲間」
「鳥の祖先は、結局恐竜なの?」
「鳥に歯はない。くちばしは骨?角質?」
「カラスは家族のためなら、友情は簡単に裏切る」
「スグロミツドリは“右半身がオスで左半身がメス”」
「カメは万年、ツルは千年 ツルの本当の寿命は30年」
「おしどり夫婦の由来であるオシドリは普通に浮気する」
「ダチョウは家族が入れ替わっても気付かない」
「ハゲワシがハゲているのは、ちゃんとした理由がある」などなど
そんな鳥たちの意外な生態や知られざる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。
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