ウグイスの歌声はラブソングのときだけキーがちょっと高い!?【眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話】


ウグイスの歌声はラブソングのときだけキーがちょっと高い
「ホーホケキョ」には違いがある
春先になると聞こえてくる「ホーホケキョ」というウグイスの鳴き声は有名ですが、これはオスだけの特別な鳴き声で、繁殖期にしか聞くことができません。実はこの鳴き声には音程が2パターンあり、よく聞いてみると高音キーと低音キーで鳴き分けていることがわかります。同じ鳴き方でも、実はこのキーの違いによって意味が変わっているのです。
高音キーのことをH型といいますが、英語の「High=高い」からきています。H型の鳴き声は、主にメスへの求愛のために使われます。大きく喉をふくらませ、高らかに、遠くに声を響かせるのが特徴です。
一方、低音キーで鳴くことをL型といい、英語の「Low=低い」からきています。こちらはドスのきいた低い声で、縄張りを主張するときなどに使います。
また、「ケケケケケキョケキョケキョ」と長い鳴き声もありますが、これは「谷渡り」と呼ばれる鳴き方で、侵入者に対する威嚇や危険が迫ったことを知らせる警戒音です。
ちなみに春の始まりに「ホーホケ」や「ケキョ」だけ聞こえることもありますが、これは「ぐぜり」と呼ばれるウグイスが練習している声です。繁殖期本番に美しく鳴けるように、オスは練習に励むのです。
「ホーホケキョ」の種類
H型:メスへの求愛
主にメスへの求愛のメロディ。大きく喉をふくらませ、高らかに美しく鳴く。

L型:縄張りの主張
縄張りの主張やライバルを警戒するために鳴く。ドスのきいた低い声で力強く鳴く。

谷渡り:危険を知らせる警戒音
ウグイスの捕食者である猛禽類やキツネ、人などが近づいたとき、危険が迫ったことを仲間に知らせる警戒音。

ぐぜり:練習中
春先に、まだ上手に鳴けないウグイスの鳴き声。こうして練習を重ねることで繁殖期本番にはきれいに鳴けるようになる。

メスの鳴き声は?
笹鳴き
繁殖期を終えた夏以降は、オスもメスも「笹鳴き」と呼ばれる小さく目立たない鳴き声を発する。ウグイス同士が距離を保つように、自分の居場所を伝えるために発しているとされている。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』監修:小宮輝之
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』
監修:小宮輝之
飼うこと、食べること、動物園・水族館・花鳥園などでの鑑賞、身近にいる野鳥など、寿命が長い上、インコやオウムなどは話したり、歌ったりとコミュニケーションもとれることから、日本には愛鳥家も多く鳥関連のイベントも定期的に開催されており、動物類のなかでもコアファンが多い生き物です。
鳥類は恐竜時代から大量絶滅を唯一生き延びた動物のため、歴史も古く、進化の過程で飛ぶ・飛ばないをはじめ、大きさや形、色、生息地域も異なり、外見も内面も個性豊か。
社交性も高い上、カラスやオウムなどは知能も高く、行動学の観点でも面白い特徴が多く見られます。
「約1万種類いる鳥類の半分はスズメの仲間」
「鳥の祖先は、結局恐竜なの?」
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「カラスは家族のためなら、友情は簡単に裏切る」
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