脳の小ささが玉にキズ? 超スペックを持つダチョウの少し残念な生態とは【眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話】

ダチョウは家族が入れ替わっても気づかない
身体能力抜群だけど記憶力に難あり
ダチョウは世界最大の鳥類で、アフリカのサバンナに生息しています。細長い首と大きな目が印象的ですが、その眼球は実に直径約5cmあって、これは鳥類にとどまらず陸生生物最大なのだとか。そのためか視力に優れ、40m先の豆つぶが見えるといわれています。
鳥の趾は通常4本のところ、ダチョウは2本しかありません。これを二趾足といい、速く走ることに適しています。実際、ダチョウは平均時速60kmを30分間持続することができます。一瞬の速さではチーターが上ですが、数分で息が上がるため、ダチョウこそサバンナのナンバーワンスプリンターといえるかもしれません。
そんなダチョウにも欠点があります。脳の重さが約40gしかないせいか、個体識別ができず、数もかぞえられないようなのです。たとえ2つの群れがケンカなどで入り乱れ、分かれた後で群れの顔ぶれが以前と違っても、まるで気づかないというので驚きです。
おもむろに走り出しては崖から落ちたり、人間が背中に乗ったことも忘れてしまうなど、「うっかりエピソード」には事欠かないダチョウ。さらには痛みにも鈍感ですが、そのぶん回復力に優れ、大ケガをしても感染症にかかることがほとんどありません。お茶目な一面と、驚くべき生命力をあわせ持った鳥なのです。
意外と知らないダチョウの真実
● 陸生生物最大の眼球:直径約5cm。人間にたとえると推定視力20.0以上。40m先の豆つぶも見える
● 脳の小ささが玉にキズ:大きな体の割に脳の重さはわずか40gほど。そのせいか記憶力や状況把握力に欠ける
● 鳥類最大の身体サイズ:体高2m以上。体重はオスで150kg、メスで100kgに達することも。いずれも現存する鳥類の中では最大サイズ
● 2足歩行では地上最速:平均時速60kmで約30分走り続けられる。4足歩行最速のチーターには一瞬のスピードでは劣るが、持久力では圧勝
● 卵のサイズも鳥類最大:鳥類で一番大きく、長さは20cm近い。鶏卵の約25~30個分

大事な家族の顔がわからない?
ダチョウは数の概念がわからず個体識別も苦手。2つの群れが入り乱れた後、メスが入れ替わってもオスは気づきません。子どもの数が違っていても、わからないのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』監修:小宮輝之
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』
監修:小宮輝之
飼うこと、食べること、動物園・水族館・花鳥園などでの鑑賞、身近にいる野鳥など、寿命が長い上、インコやオウムなどは話したり、歌ったりとコミュニケーションもとれることから、日本には愛鳥家も多く鳥関連のイベントも定期的に開催されており、動物類のなかでもコアファンが多い生き物です。
鳥類は恐竜時代から大量絶滅を唯一生き延びた動物のため、歴史も古く、進化の過程で飛ぶ・飛ばないをはじめ、大きさや形、色、生息地域も異なり、外見も内面も個性豊か。
社交性も高い上、カラスやオウムなどは知能も高く、行動学の観点でも面白い特徴が多く見られます。
「約1万種類いる鳥類の半分はスズメの仲間」
「鳥の祖先は、結局恐竜なの?」
「鳥に歯はない。くちばしは骨?角質?」
「カラスは家族のためなら、友情は簡単に裏切る」
「スグロミツドリは“右半身がオスで左半身がメス”」
「カメは万年、ツルは千年 ツルの本当の寿命は30年」
「おしどり夫婦の由来であるオシドリは普通に浮気する」
「ダチョウは家族が入れ替わっても気付かない」
「ハゲワシがハゲているのは、ちゃんとした理由がある」などなど
そんな鳥たちの意外な生態や知られざる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。
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