星のなかで唯一、北極星だけ動かない理由とは【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

地軸の延長線上にある

夜空に輝く星々のなかで、実は一年を通して常に真北の空に輝いている星があります。それが「北極星」です。ほかの星が時間の経過とともに移動するなか、北極星はずっと同じ位置にとどまっています。そのため、昔から方角を知るときの目印とされてきました。

地球は北極と南極を結ぶ回転軸（地軸）を中心に回転運動（自転）をしています。そうして自転を続ける地球からは、天体が常に東から西へと移動しているように見えます。この現象を「日周運動」といいます。

では、ほかの星々が日周運動をするなか、北極星だけ動かないのはなぜでしょう。それは北極星が地球の地軸の延長線上にあるからです。日周運動をしてはいるものの、その動きがわずかなため動いていないように見えるのです。

ところで、北極星が〝代替わり〟することはご存じでしょうか。北極星とは、「天の北極」（地球の自転軸を北の方角に伸ばしたときに天球と交わる点）にもっとも近い輝く恒星を指します。

現在の北極星は「ポラリス」という恒星で、西暦５００年ごろに先代の「コカブ」からその座を受けつぎました。ポラリスは西暦２１００年ごろに天の北極にもっとも近づくと考えられていますが、西暦４０００年ごろには「エライ」が次代の北極星になるといわれています。

北極星の見つけ方

北斗七星から探す

まず、北の空にひしゃくの形をした北斗七星を見つける。それからひしゃくの先にある２つの星の距離を測り、そのまま線を５倍の場所まで延ばした先にあるのが北極星。

カシオペヤ座から探す

カシオペヤ座が形づくるＷの両端の辺を延長した交点と、Ｗの中央にある星との距離を測り、その線を５倍にした場所まで延ばした地点からも見つけることができる。

観測地点で北極星の高度は変わる

北極星は北半球でしか見えない。さらに見る場所（北緯）によって北極星の高度は異なり、北極（北緯90°）では自分の真上（高度90°）に、赤道上（緯度０°）では真横（高度０°）に見える。北緯36°に位置する東京では地平線から36°の高さに北極星が見える。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』監修：渡部 潤一