死後の罰への恐怖が道徳を育てた!? 人類が「自制心」を手に入れるために必要だった地獄の存在【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

死後の報いという考えが道徳を育てた

死後の罰への恐怖が人を戒めた

 死後の世界を考えるとき、多くの文化は「罰」と「報い」という概念を通して、生きる者に倫理を教えようとしました。古代エジプトの神話では、冥界の支配者が魂の行いをはかり、善悪を区別したとも記されていました。時が流れ、こうした発想は人々の行動を抑制する思想として受け継がれていきます。

 仏教では、地獄は六道輪廻のひとつに位置づけられ、悪行を重ねた者が苦しみを通して罪を償う場所とされました。地獄はまさに、永遠ともいえるほど長く刑罰を与えるものであり、悪行が悪い結果をもたらすことを教える、教育的な場所だったのです。経典では八大地獄や十六小地獄が説かれ、人々に悪を行わせないよう、戒めたのです。

 一方、西洋では、キリスト教の新約聖書に「最後の審判」の思想が示されます。天国と地獄という二元論的な構造が確立され、救済と罰の対比が道徳の基礎となりました。この観念は中世ヨーロッパの社会秩序にも影響し、宗教だけでなく政治や法にも反映されていきました。

 こうして地獄の思想は、悪いことをすれば罰が下り、償わなければならないという倫理観を形成し、社会の秩序を保つ枠組みとして機能しました。死後の報いを信じる心が、自制や善行を促す力となったのです。

悪いことをした者が行く「地獄」

仏教

生前の行いを裁かれ、犯した罪によって相応の地獄へ落とされる

キリスト教

悔い改めなかった者が火の池に投げ込まれ、永遠の苦しみに苛まれる

地獄という概念は宗教思想のなかで発展を遂げた。宗教ごとに違いはあるものの、悪いことをすれば相応の裁きを受ける点で共通している。

死があるからこそ生まれた道徳の意識

宗教観に基づく道徳意識

地獄の思想は、人に「悪を犯せば償うべきだ」という意識を明確に芽生えさせたといえる。死後の罰を想像することが、社会の道徳を支える力になった。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 死の話』監修:島田裕巳

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 死の話』
監修:島田裕巳


【Amazonで購入する】

死とは何か──
シリーズ累計400万部を超える『眠れなくなるほど面白い図解』シリーズで、専門家と徹底考察。

人はいつか死ぬ。しかし、「死」は誰もが避けられないことでありながら、普段はなかなか考えにくい話です。
本書は、人間にとって「死」がどのような意味を持つのかを、医学・科学・文化・宗教・歴史など多角的な視点から解説します。

死の定義や脳死の問題、なぜ生物は死ぬ仕組みがあるのか、臨死体験の実態など、科学的な問いから入り、土葬・火葬・風葬といった文化的慣習や、世界各地の葬儀・死者とのつながり、日本の仏式葬儀の背景まで、人類がどのように死に向き合ってきたかを幅広く紹介します。
さらに、尊厳死や安楽死、終活、遺書やホスピス医の事例などを通して、死と向き合う心理や現代社会の課題にも触れ、あらゆる角度から「死」を考察。

「死」を正しく知ることで、日々の生き方を見つめ直し、今をより充実させるヒントが詰まった一冊です。

この記事のCategory

オススメ記事

葬儀の原型は4万年前にあった!? ネアンデルタール人の埋葬が語る死後への想像力【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

【図解で学ぶ】反応確認から救急搬送まで! 命をつなぐ「心肺蘇生」4つのステップ【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

火葬は浄化で土葬は再生? 世界各地で異なる「遺体の扱い」に表れる文化の違い【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

【進化の鍵】死は命のアップデート? 絶滅を防ぐためにプログラムされた「寿命」の正体【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

古代エジプト人はなぜミイラを作ったのか? 文化によって変わる遺体の扱い方【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

死の直前に「赤ちゃん」へ戻る!? 不老不死のベニクラゲが持つ驚異の能力【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

寿命はわずか数時間!? 「空を舞うため」だけに生きるカゲロウの生き様とは【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

【エンドルフィンの奇跡】死の恐怖を和らげる脳の仕組み? 穏やかな最期を迎えるための生理現象とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

求人情報

インフォテキストが入ります