大規模すぎる古代エジプト最盛期のミッション!エジプト全土を対象とした建築活動とは【眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話】

【新王国時代】古代エジプト最盛期のミッションは領土の拡大と神殿の建設だった

資源確保のために各王が尽力

異民族支配を経験し、エジプトは西アジアや地中海世界の影響を受けるようになっていきます。第18王朝では西アジアと地中海世界の交易の要地シリア・パレスチナを間接的に支配下に置き、周辺地域からの貴重な資源を獲得することが重要な政策となりました。ヌビアについては植民地化し、直接統治をすることで金などの資源確保をはかりました。また、守護神アメン信仰をさらに強め、カルナクのアメン大神殿への寄進と増築が歴代の王の課題とされました

第18王朝の最初の王イアフメスは、「ヒクソス」の都アヴァリスを陥落させ、ヌビアも鎮圧して上下エジプトを再統一します。その後の王たちも外敵を退け、領土を拡大するとともに、競うように神殿建設を進めました。なかでも、ハトシェプスト女王やトトメス3世が築いた壮大な建造物は、先王たちの規模をはるかにしのぎます。トトメス3世は毎年西アジア遠征を行い、ヌビアも支配下に置いて、シリアからヌビアにおよぶ古代西アジア・北アフリカ最大の帝国を築き上げました。カルナクのアメン大神殿増築の際には、多くの戦利品が寄進されたことも記録されています。

エジプト史上空前の建築活動を行ったのは、アメンヘテプ3世です。デルタ地帯から上ヌビアにわたるエジプト全土に、大規模な神殿を造営しました。

エジプト全土を巨大な祝祭空間に

アメンヘテプ3世は、テーベを中心とした宇宙を想像するように、エジプト全土を巨大な祝祭空間とし、太陽神の化身としての絶大なる王権を表現しようとした。

ルクソールのナイル川西岸に立つ、アメンヘテプ3世の葬祭殿のメムノン像
ルクソール神殿のアメンヘテプ3世の中庭 ©河合望

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』
著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)


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