有名な「ギザの三大ピラミッド」は三つとも特徴が異なる【眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話】

有名な「ギザの三大ピラミッド」は三つとも特徴が異なる
三者三様の治世が見える
クフ王の大ピラミッドは、東側に葬祭殿が配置され、長い参道がナイル川の氾濫原に接する位置にあったと推測される河岸神殿へと延びています。参道沿いには、クフ王の母でスネフェル王の王妃ヘテプヘレス1世の墓があります。葬祭殿の南東には王妃たちのピラミッドが3基あります。
大ピラミッドの東側と南側には合計5基の船坑があり、そのうちの2基には、レバノン杉製の船が、解体された状態で埋納されていました。東側には王族のマスタバ墓が整然と並び、西側には高官のマスタバ墓が列をなし、なかでも大ピラミッドの設計・建設者ヘムオンの墓は威容を誇っています。
カフラー王による第2のピラミッドは、ギザ台地の最も高い場所にあり、大ピラミッドより高く見えます。基礎近くには表面に赤色花崗岩が使われ、途中から石灰岩に変わっているので2色の外観に見えます。構造は大ピラミッドよりシンプルですが、葬祭殿は大ピラミッドより大きく、河岸神殿脇には「大スフィンクス」が控えています。
メンカウラー王の第3のピラミッドも2色の外観ですが、高さは大ピラミッドの半分以下です。財政難だったのか、岩盤の面積が足りなかったのか、葬祭殿や河岸神殿を優先したのか、はっきりはしません。しかし、巨大な石灰岩ブロックで建造されていた葬祭殿が、最終的には日干しレンガ製になったことから、王権の弱体化がうかがえます。
三大ピラミッドの配置

※ヘムオンは、大ピラミッドの設計・建設者。ケントカウエスは、メンカウラーの娘
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』
著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)
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