ピラミッドの内部構造はどうなっている?【眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話】

ピラミッドの内部構造はどうなっている?

謎に満ちた天界への上昇装置

ピラミッドの内部はどうなっているのでしょう。最も複雑といわれるクフ王の大ピラミッドで見ていきましょう。大ピラミッドの内部には、「王の間」「女王の間」「地下の間」の三つの部屋があります。考古学者マーク・レーナーは、「王の間」はクフ王が埋葬された場所、「女王の間」はクフ王の彫像が置かれた場所、「地下の間」は地下の洞窟を意味するとしています。一方で、三つとも墓室として計画されたが、建設中の設計変更で位置や役割が変わったという説もあります。

「王の間」と「女王の間」には、二つずつ通気孔の穴があり、南北の上方に延びています。「王の間」の通気孔が途中までしかできていないのは、ここを玄室(遺体を安置する目的の部屋)にする計画が変更され、そのままになったと推測されます。エジプト学者ライナー・シュタデルマンらは通気孔が星に焦点が合っていることを計測しました。「王の間」の北の通気孔は竜座のα星ツバンに、南はオリオン座のアルニタク星に、「女王の間」の北の通気孔はシリウスに、南はこぐま座のB星に焦点が当てられているので、王の魂が天に昇るための通路であるとしています。

大ピラミッドはこのように複雑で、まだ多くの謎が残ります。「女王の間」に通じる通廊の西側や「大回廊」上方に、未知の空間が存在する可能性が指摘され、今後の解明に期待が寄せられます

「王の間」の上に「重量軽減の間」

入り口…地上約15mの位置(見学入り口はその下の盗掘口)
「重量軽減の間」…「王の間」にかかる重量を軽減する。空っぽの部屋を五つ積み重ねた構造
「大回廊」…上がるごとに壁がせり出して狭くなる持ち送り構造。長さ約47m、高さ約9m(見学可)
「王の間」…クフ王の埋葬場所とされ、赤色花崗岩の石棺が置かれていたが、ミイラはなかった(見学可)
「女王の間」…女王の埋葬室ではなく、王のカー(魂)の彫像を納めたとされる。
「通気孔」…空気の通り道ではなく、魂の通り道とする説も
「地下の間」…地下約30mの位置。広さ約100㎡、高さ約5.3m。未完成

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授) 

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』
著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)


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