ピラミッド建設の労働者は奴隷みたいに働いていた?【眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話】

ピラミッド建設の労働者は奴隷みたいに働いていた?

労働者が暮らす町があった

ピラミッド建設には石材を切り出す人、運ぶ人、石積みをする人、それらの人々が使う道具を作る人、監督をする人など、さまざまな役割の人々が必要でした。そのために、約2万人から2万5000人が動員されたと推定されています。以前は、クフ王のピラミッドは10万人の奴隷が20年がかりで建設したと考えられていましたが、実は意外にも労働者の環境は整えられていたことがわかっています

ピラミッドの建設現場の近くからは、労働者たちの小屋やパン焼き窯の跡が発見され、動物の骨などもたくさん出てきました。労働者たちが現場近くで寝起きして、十分な食事を与えられていた証拠です。ピラミッドの近くには、ピラミッドタウンという労働者たちの町が建設されていて、その規模、約7万㎡にも及ぶとみられています

こうした大規模建設には、多くの人々をまとめ、綿密な計画を実行に移す優れた統率力や組織力が必要でした。そして何より、建設に関わる全員のピラミッド建設の目的に対する共感を呼び起こすリーダー的存在も不可欠でした。また、ファラオが太陽神ラーのもとに昇天して永遠の命を得るためのピラミッドは、人々の死後の復活の願いをかなえてくれるものともみなされ、労働者たちの励みにもなったのではないでしょうか。

ピラミッド建設は、信仰心に支えられた国家プロジェクトであったとも考えられます。

報酬はパンやビール

ピラミッド建設の時代は通貨がなかったので、報酬はパンやビール。現場近くでパンやビールを製造し、牧場もあった。 

労働者が暮らすピラミッドタウン(略図)

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授) 

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』
著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)


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