「国宝の密度が日本一」!? 豪華絢爛中も外も国宝だらけ『平等院鳳凰堂』の歴史【眠れなくなるほど面白い 図解 国宝の話】

末法の世、極楽浄土を願う阿弥陀如来信仰!?

別荘から両翼を広げた寺院へ変貌 ──平等院鳳凰堂

 「平等院」(国宝)は京都南郊の地、宇治市にある。この地は平安の昔から貴族の別荘地帯であり、『源氏物語』の舞台となったところだ。平等院が建つ土地は、光源氏のモデル有力候補といわれる左大臣源融の別荘だったのが、陽成天皇、宇多天皇に渡り、次いで朱雀天皇を経て宇多天皇の孫、源重信に移り、長徳4年(998年)、のちに「御堂関白」と呼ばれた藤原道長の別荘「宇治殿」となったという因縁つきのもの。

 ところで、道長が没したあとの永承7年(1052年)、その子の関白藤原頼通が宇治殿を寺院に改め、名称を「平等院」としたと伝えられている。寺院とした訳は、平安後期、釈迦の入滅後、2000年を超えると仏法が廃れ、末法の世になると信じられていたからだ。貴族たちは阿弥陀如来を本尊とする仏堂を盛んに建造するのだが、それらの仏堂、伽藍は現存せず、平等院だけが唯一、建物・仏像・壁画・庭園までトータルに残存している。

 ただし、南北朝時代の建武3年(1336年)1月、この地が足利尊氏と楠木正成の合戦場となり、平等院もまた、鳳凰堂(阿弥陀堂)以外はほとんど焼失した。その後も荒れるままに任せていたが、明治35年(1902年)から4年にわたって鳳凰堂の大規模な「明治修理」が行われ、現在に至っている

 平等院はどの宗派にも属さない単立寺院だが、境内を共同管理する塔頭として浄土宗の浄土院と天台宗寺門派の景勝院がある。共同管理は室町時代から始まった平等院管理への両宗派の対立を治めるため、天和元年(1681年)に徳川幕府(寺社奉行)が下した裁定によっている。

:源融(822〜895年)、陽成天皇(869〜949年)、宇多天皇(867〜931年)、朱雀天皇(923〜952年)、源重信(922〜995年)、藤原道長(966〜1028年)、藤原頼通(992〜1074年)、足利尊氏(1305〜1358年)、楠木正成(1294〜1336年)


平等院鳳凰堂

藤原頼通=一世を風靡した父道長から後一条天皇の摂政を譲られ、父の死後、50年間、関白を務めて藤原全盛時代を築いたが、晩年は朝廷の内外から揺さぶられ、没落

平等院鳳凰堂

昭和26年(1951年)に国宝指定/京都府宇治市平等院

 平等院鳳凰堂は「国宝の密度が日本一」と称されるほど、国宝が多い。鳳凰堂の中堂・両翼部・尾廊、本尊の阿弥陀如来坐像、雲中供養菩薩像、梵鐘、鳳凰像(工芸品)など彫刻や絵画、工芸品に建物を加えて74点が国宝に指定されている。水面に浮かぶ鳳凰堂は、人々から「極楽いぶかしくば宇治の御寺をうやまへ」と讃美されるほどその美しさを誇った。

 平安時代後期・永承7年(1052年)に本堂建立、翌天喜元年(1053年)に完成したと伝わる。また、本尊の阿弥陀如来坐像は、仏師定朝の現存唯一の作品。大陸風の仏像様式を脱し、和風の様式美を生み出した仏師だが、この仏像以外に作品は残されていない。本尊を安置する須弥壇は螺鈿や飾り金具で装飾されていたが、残念ながらすべて脱落。

中堂:桁行3間(約5.5m)、梁間2間(約3.6m)、入母屋造、本瓦葺/ 南北翼廊:8 間(約14.5m)、梁間1 間(約1.8m)、一重2 階、切妻造/ 隅楼部:二重3 階、宝形造、本瓦葺/ 尾廊:桁行7間(約12.7m)、梁間1 間、一重、切妻造、本瓦葺。


にゃん太:平等院の鳳凰堂って、極楽浄土なの?
わん爺:うむ、阿字池の真ん中に建てられたから、水面に鳳凰堂が映るんだな。その姿がなんとも神々しい。建物の中もすごいぞ。華麗な空想上の花を組み合わせた宝相華文様や天人、楽人童子、鳳凰が、壁・柱・扉に極彩色で描かれている。天井には66個もの銅製鏡が吊るされているというな。まぁ、これほど豪華絢爛たる建物はほかにあるまいよ。当時、極楽浄土と夢見たのも無理はないかものう。


【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 国宝の話』著:鈴木 旭

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 国宝の話』
著:鈴木 旭


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