クマのツメは森の最強ツール! 登る・掘る、サインする!? 何でもこなせる万能ぶり【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】


ツメさえあれば何でもできる 道具いらずで超便利
引っかき傷は存在を示すサイン
クマのツメはさまざまな用途に使われます。たとえるなら、森の暮らしを支える多機能ツールのような存在といえるでしょう。
まず注目したいのが、その圧倒的な強度。クマのツメは硬いたんぱく質でできていて、人間のツメとは比べものにならないほど頑丈です。特に、長く湾曲したヒグマのツメは地面を掘る、木の根を掘り返す、倒木をひっくり返すといった力仕事にも対応できます。たとえば、地面に穴を掘ってエサを探すときが、このパワーツールの出番です。
また、木に登るためのアイゼンとしての役割も持っています。木登り自慢のツキノワグマは、太く鋭いツメを木肌にしっかりと食い込ませ、高い枝までぐんぐん登っていきます。果実を採るとき、身を隠すとき、あるいは木の上でひと休みするとき、ツメが体を支える命綱として機能するのです。
そして繊細な動きにもツメは大活躍。石をひっくり返したり、果実をたぐり寄せたり。あるいは魚の脂肪だけを選んで食べたりするとき、ツメと指を器用に使います。
ちなみに、クマが木の幹にツメを立て、引っかき傷を残すことがあるのはご存じでしょうか。これはいたずらではなく、一説には自分の存在を示すサインだとされています。
クマのツメでできること
木に登る
ツメを木肌に食い込ませ、するすると素早く木に登ります。

穴を掘る
エサ探しや冬眠用の巣穴をつくるために用います。

マーキングする
木の幹にツメ痕を残して、自分の存在を示すサインとします。

クマの種類別【ツメの長さ&特徴】
● アメリカクロクマ:4〜5cm
湾曲が強く、木登りに非常に適している。枝にしがみついたり、果実を採ったりするのが得意
● ヒグマ:7〜10cm
まっすぐに近く非常に頑丈。地面を掘る、倒木を動かす、サケを捕まえるなど、パワー型の用途に優れている
● ツキノワグマ:4〜5cm
やや湾曲しており、木登りや虫探し、果実の採取に適している。器用にものを扱う動作にも使われる
● ホッキョクグマ:3〜5cm
短く鋭い。氷の上で滑らないためのグリップとして機能し、獲物を押さえつけたり氷を砕いたりする
● マレーグマ:6〜8cm
長く鋭く湾曲している。ハチの巣を壊す、木の樹皮を引きはがす、木登りするなど、幅広く使われる
● アンデスグマ:約4cm
やや湾曲している。木登りが得意で、果実を採る、枝をたぐり寄せるといった器用な動作に向いている
● ナマケグマ:最大10cm
長く太いツメを使って、アリやシロアリの巣を掘り起こす
● ジャイアントパンダ:5〜7cm
しっかり湾曲している。竹をつかんで押さえるのに都合がよく、木に登るときの補助にもなる
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』監修:山﨑晃司
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』
監修:山﨑晃司
世界中数多くの動物園で飼育され、アニメや漫画、ファンシーキャラクターのモチーフとしても起用されることの多い人気の動物「クマ」。
最近では日本全国で目撃が相次いで発生したり、温暖化の影響で冬眠をしないクマも確認されたりすることから、話題に事欠かない今大注目の動物です。
しかし、ペットとして飼うことは難しく、ときに人を襲う恐ろしい側面も持ち合わせるクマ。
それなのになぜ人間にとって馴染み深く身近な存在に感じるのでしょうか。
「クマは大体力士2人分の重さ」「死んだふりは意味ある?クマに出会ったときの対処法」
「ホッキョクグマは皮膚が真っ黒で毛が透明?」「年々増加している“新世代クマ”って!?」
「イエティとビッグフットの正体はクマ?」
愛玩動物、猛獣、食用、ワーキングアニマルなど、さまざまな角度からクマの生態と特徴を解説し、クマの知られざる魅力に迫ります。
これを読めばクマのことがもっと好きになること間違いなしの一冊です。
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