一粒一粒に意味あり、『米』の字に込められた農耕精神【眠れなくなるほど面白い 図解 米の話】

「米」という漢字は、バラバラになった稲穂をイメージ
象形文字と八十八の手間の話
私たちに馴染み深い「米」という漢字。見慣れたこの字の形をじっくり見てみると、中央から四方に伸びる線が、バラけた稲の粒のようにも見えてきます。
実際に、「米」という漢字の先駆けとなった象形文字にはいくつかの説があります。もっとも知られているのは、脱穀された稲穂が四方に飛び散る様子をかたどったものとする説で、古代中国で生まれたこの字は、もともと〝粒状のものが散った状態〟を表していたといわれています。また、稲の穂そのものを図案化したという見方もあり、「米」という字がいかに稲と密接に結びついていたかがうかがえます。
一方で、もうひとつよく知られている説があります。米が実るまでには八十八回もの手間がかかるとされ、「八」「十」「八」の3つの数字を組み合わせて「米」という字になった、というものです。こちらは民間の説ですが、稲作にかける労力や祈りの深さを表しているという言い伝えがあります。たった一粒の米にも、数えきれない工程と感謝の気持ちが込められている─そんな農耕文化の精神が伝わってきます。
さらにこの「米」の字は、「糧」「糖」「粥」など、多くの漢字の一部としても使われています。これは、食料や甘味料などの原料として米が重要な存在だったことを示す名残です。
形に注目!「米」という字の由来
象形文字としての「米」
象形文字では、「米」という字は脱穀された稲穂がバラバラに飛び散る様子をかたどったものとされています。

民間説・八十八の手間
「八」「十」「八」の3つの文字を並べて組み合わせたという説です。米は苗を植える、水を引く、害虫を防ぐなど八十八回の手間ひまをかけて育てるからといわれています。

「米」がつく漢字を探してみよう

「糖」は昔、米を発酵させて甘味料をつくったことに由来するなど、米へんは米からつくるものや食に関係する言葉に多く見られます。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 米の話』著:トキオ・ナレッジ
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 米の話』
著:トキオ・ナレッジ
スーパーなどでの米不足、転売、価格高騰などで、ニュースやワイドショーでここ最近毎日のように取り上げられる今いちばんのホットトピック「米」。
備蓄米の放出により、古米がスーパーやコンビニで置かれるようになりましたが、味や品質、衛生面、値段、美味しく食べる方法など、普段何気なく食べていた米について興味をもって調べる人が増えてきました。
また、近年糖質制限という逆風もある一方で、健康志向や和食ブームの高まりにより「米」の再評価も進んでいます。
本書は、私たちの食卓に欠かせない「お米」にまつわる知識・文化・歴史・雑学などを、図解を交えてわかりやすく、楽しく紹介する教養本です。
「“令和の米騒動”はひとつの原因では語れない」
「年々減少する米の消費量 それでも起こる米不足」
「備蓄米ってなに? 米に消費期限はないの?」
「外国米が日本市場になかなか入れない理由」
「炊飯器に放置された保温状態の米の消費期限は?」
「白米より栄養価アップ!今人気の分づき米とは」などなど
読めば誰かに話したくなる米知識が詰まった一冊です。
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