コイの姿に学ぶ!? 揚力を生み出すデザインの秘密とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】

翼が生み出す力「揚力」とは?

揚力は、動圧と翼面積に比例する

鯉は川の中で、流れを軽く受け流して悠然として同じ場所にいることができます。

その理由は流線型と呼ばれている形にあります。鯉の周りの流れの様子(流線と呼ぶ)を見ると、左右対称になっています。流れが曲げられても、いいかえれば動圧が変化しても、左右とも同じ大きさなので力が釣り合っているのです。

ということは、動圧のバランスを崩すことによる反作用が力を生み、動圧が大きいほどその力も大きくなると考えられます。

この力は、身近なものでも経験できます。

たとえば、スプーンの湾曲した側を蛇口から出ている水に近づけていくと、ある位置から急に引っ張られる力が作用します。湾曲している側の空気が水に加速され動圧が大きくなるからです。

また、紙の上部を吹くと紙が持ち上がるのも同じ理屈です。そして図のように、いろいろな形の板をいろいろな角度で風の中で実験すると、もっとも効率よく力が出せる板の形と、板の角度(迎え角)があることがわかります。

このように、動圧の変化による力をうまく利用し、翼が生み出す力のことを揚力と呼んでいます。余談ですが、「鯉の滝登り」は、川の動圧よりも大きい滝の動圧を利用すれば可能なのではないかと思われます。

このように、翼が空気をうまく受け流すことで揚力が発生しますが、動圧は接線成分をもち、その大きさは流れを受け止める形、つまり面積に依存するので、翼の面積が大きければ大きな揚力を得ることがわかります。

このことから、揚力は、動圧と翼面積に比例することがわかります。

揚力を発生させる空気の流れ

揚力が発生しない空気の流れ

空気を迎える角度(迎え角)が大きすぎると空気の流れが表面から剥離してしまい揚力は発生しない

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治

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