これを覚えたら一人前!知っておきたい予想ファクター
スタート展示、周回展示、コース別成績、チルト……。ボートレースならではのこうした予想ファクターを押さえれば、これであなたもボートレース通。「チルトの魔術師」「前づけの鬼」「絶対王者」と称される名選手を覚えておけば、的中はもう目前!
チルトの魔術師・菅章哉
チルト角度の説明をしましたが、ここでチルトを上げて活躍する伸び仕様のレーサーを紹介したいと思います。このチルト角度を自在に操り、プロペラも合わせ、モーターの伸び足にこだわりを持つ男、その名も菅章哉選手!チルト角度をマックスの3度にすると伸びはつきますが、とにかく乗りづらい! 操縦しにくい! ターンができない! しかし、菅選手はそれをしっかり乗りこなし、今や「チルト3度といえば菅章哉」と呼ばれるレーサーなのでございます。
もちろん、いくら3度のセッティングにしても伸びないときもあります。そんなときでも、プロペラとのマッチングを追求して伸び仕様に仕上げてきます。さらに、3度がダメなら1.0度や1.5度と、いろいろな角度で最も伸びる仕様を探す!まさに「チルトの魔術師」と私は勝手に呼んでいます!
レースに出ても、菅選手のなにが凄いってチルト3度にしてもターンがしっかりできて、道中で他のボートと競えることです。過去にもチルトを上げて外から勝負するレーサーはいました。スタート1発でまくってしまえば1着ですが、道中で他のボートと競るとターンがしづらいので6着になってしまう選手ばかりだったのですが、菅選手はまくり切れなくても道中で競り勝って2 着や3 着に来ることが多いのです。これこそが私が菅選手を凄いと思う理由です!
ここで菅選手のチルト3度の豪快レースをご紹介!2023年5月、G1児島キングカップ2日目の5R。ここ5号艇で登場の菅選手はもちろんチルト3度。スタート展示では6号艇の毒島選手が菅選手をマーク。だいたいチルト3度の選手はピット離れが悪いので6コースになることが多いのですが、菅選手の伸びが凄いのでまくられるよりは一つ外のコースを選択し菅選手に攻めてもらったところを差し狙いする形の選手も増えてきました。
124ページで説明したセット舟券理論を選手たち自身も認識している証拠ですね。しかし、本番は菅選手のひとつ内、4 号艇・中澤選手が菅選手をマークとなり進入は、123/546、カドになった菅選手はがぜんやる気モード。いくら伸びるといっても、やっぱり4 カドと5、6 コースでは全然違いますからね。
取材で菅選手にインタビューをさせてもらったのですが、「一つ内に入るだけで全然違います! カドに入れてくれれば僕はまくりしか考えません」と話していました。その言葉どおり、スタートをしっかり決めてグイグイ攻めていく菅選手。しっかりまくり切って結果5–6–3の3連単4,620円。菅選手をマークした中澤選手は1マークで内に入り込めず、もう一人の菅選手をマークした6 号艇・毒島選手が最内を差してきて2着。これぞチルト3度のレースというものでございました。いまや菅選手以外にも、菅選手からアドバイスをもらってチルトを跳ねるレーサーが出てきています。
ここまで菅選手のチルト3度を強調しすぎましたが、イン戦とかスローの場合、多くはチルト0 度で臨みます。ただレーススタイルはとにかく攻める選手なので、スローの2コースや3コースでも攻めるまくりが多いと頭に入れておいてください。
【出典】『究極のボートレースガイドブック』著:西野精治
【書誌情報】
『究極のボートレースガイドブック』
著:西野精治
近年、コロナ禍の影響もあり公営ギャンブル市場は毎年のように売り上げを伸ばしています。スマートフォンの普及で手軽に参加できることもあり、今やバブル期の売り上げを上回る状況となっています。この公営競技の中でも最もファンや売り上げを伸ばしているのがボートレース(競艇)。公営ギャンブルと言えば中央競馬(JRA)を思い浮かべる人が多いはずです。たしかに昔から競馬ファンは多く、馬券の売り上げが全公営競技の中でダントツに大きかったのですが昨今は状況が変わりつつあります。ボートレースの人気は急上昇、舟券の売り上げは2兆4142億円(2022年度)と約3兆円の中央競馬に肩を並べるまでになっていて、新規のボートレースファンが増加していることを示しています。とはいえ、初心者にはどうやってボートレースを予想していいのかが分からないのも事実。最初は誕生日とか好きな番号、好きな色、カッコいい選手などの理由で舟券を買うのもありですが、ずっとそのレベルではボートレースを本当に楽しめているとは言えないでしょう。本書はその域を脱して「選手の実力」「有利なコース」「レース展開」「モーターやボートの性能の見極め」などを知ることによって、「自分でレースの予想、推理」ができるようになることを伝授する1冊です。著者の永島知洋氏は「ボートレース楽しむプロ」としてほぼ毎日のようにテレビ番組やYouTubeのレース配信番組でボートレースの面白さ、楽しみ方を身をもって示している人です。小難しいことは抜きに「興味はあるけど専門知識ゼロの人が、とりあえず舟券を予想できてレースを楽しめるようになる」をコンセプトに書き下ろした1冊です。
公開日:2023.12.07