細胞が集まって、体の組織ができる
細胞の種類は、250〜300種類といわれますが、体全部の細胞40兆個のうち、意外なのは6割以上が「赤血球」ということです。
血液細胞(血液)には、赤血球、白血球、血小板の3つがあり、赤血球は酸素の運搬、白血球は殺菌や免疫、血小板は血液凝固という役目を担になっています。
赤血球は、例外的に核のない細胞で酸素を運搬するヘモグロビンを詰め込んだ小さな袋のようなものです。赤血球は完成する直前に「脱核」という現象で核が放り出されたのであって、もともと核がないわけではありません。血小板も核がなく、「巨核球」という骨髄の中で最大の細胞から産生されます。
このようにいろいろな組織がありますが、同じ働きをする細胞が集まって「組織」をつくるのです。
組織は細胞が集まって、ある機能をはたすことができる単位、あるいは構造といったほうがイメージに合うかもしれません。顕微鏡で見てようやくわかるレベルの構造です。
「筋細胞」、「神経細胞」、「脂肪細胞」などが集まって、それぞれ「筋組織」、「神経組織」、「脂肪組織」となります。上皮組織というのもあり、典型的なのは皮膚の表皮とか消化管の粘膜です。また、組織同士をくっつけて保つ「結合組織」というのもあります。
そして、いろいろな組織が集まって、臓器や器官をつくります。内臓だけでなく、「臓」の字がついていない感覚器官も臓器です。
心臓、肝臓、肺臓、気管、食道、腸、胆のう、膀胱、脳、脊髄、筋肉など、それぞれの臓器は組織が集まってできているのです。
細胞の種類と組織
細胞にもいろいろな種類がある
感覚細胞
神経細胞
内・外分泌細胞
血液細胞
骨細胞
体のおもな組織
組織とは、同じ働きをする細胞が結合した集合体。
上皮組織
体の外表面、 管腔、体腔などの表面を覆う細胞集団。
筋組織
筋組織・ 筋線維からなる組織。
結合組織
特殊に分化した組織。軟骨組織、 骨組織、血液、リンパなど。
神経組織
神経系を構成し、興奮を伝える性質を持つ。
小腸の構造
粘膜下層 (結合組織)
粘膜(上皮相職)
神経節
筋層(筋組織)・・・輪状筋、縦走筋
シリーズ累計250万部を突破した「図解シリーズ」の読みやすさ
図解シリーズは、文章と分かりやすい図で解説という形で構成されているので、本が苦手な人にも理解しやすい内容です。
図解シリーズには、健康・実用だけではなく大人の学びなおしにピッタリな教養のテーマも満載。さくっと読めてしまうのに、しっかりとした専門家の知識を身につけることができるのが最大の魅力です!
気になる中身を少しだけご紹介!消化管のおもな病気と症状とは?
放っておくとがんになる炎症とポリープ
消化管とは、口腔から始まり食道、胃、小腸、大腸を経て肛門までの食物の通路のことをいいます。食道から胃までを上部消化管といい、食道にみられる病気で、近年増えているのが食道の粘膜が炎症をおこした「食道炎」です。その症状は、胸部の痛み、下障害(飲み込みにくい)、胸やけ、 香酸、などがあります。食道炎の中で多いのが「逆流性食道炎」で、これまでは高齢者に多くみられましたが、最近では若い人にも増えてきました。放置すると潰瘍に進行し、食道がんのリスクも高くなります。便秘が原因のひとつとされており、食生活にも注意が必要です。肝硬変患者の3大死因のひとつとなっているのが「食道静脈瘤」です(そのほかは肝がん、肝不全)。食道粘膜の下層にある静脈が太くなり瘤のようになった状態です。これは「門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)」が原因となって発症します。「門脈」とは、腸で吸収された栄養素を肝臓に送り込む血管のことで、門脈を通して取り込んだ栄養は肝臓で処理されて全身に運ばれます。
しかし、肝硬変になると血液が流れにくくなり、それまで門脈を流れていた血液は、本来のルートからはずれて食道の血管を流れるようになります。食道への血流が多くなる結果、血管が船のようにふくれあがって食道静脈瘤になります。手当が遅れると瘤が破れ大出血してショック死をすることもある怖い病気です。胃の粘膜の炎症でおきる「胃炎」は、急性胃炎と慢性胃炎に分けられ、急性胃炎は喫煙、暴飲暴食、アルコール飲酒、ストレスが原因のものと、感染性(ブドウ球菌、アニサキス)があります。慢性胃炎はヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)、や加齢などの複数の因子が絡み合っているとされます。胃の粘膜にポリープができる「胃ポリープ」には、放置しても問題のない「胃底腺ポリープ」、比較的ピロリ菌が下人でなることが多い「過形成性ポリープ」、正常組織よりがんを発症しやすい前がん病変と考えられている「胃腺腫ポリープ」などがあります。
消化官のおもな病気
口腔
歯周病・口の中の腫瘍・嚥下障害など
食道
食道炎・食道静脈瘤など
胃
胃炎・胃ポリープなど
十二指腸
十二指腸潰瘍・十二指腸炎
小腸
クローン病・小腸腫瘍など
大腸
大腸ポリープ・潰瘍性大腸炎など
肛門
痔核疾患・痔ろう
★生命の設計図といわれるDNA
★細胞には2通りの死に方がある!?
★貧血はどうして起きるの?
★がんって本当に遺伝するの?
などなど気になるタイトルが目白押し!
シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「病理学」について切りこんだした一冊。病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」です。コロナウイルスが蔓延する中で、人はどのようにして病気になるのかが、改めて注目されています。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊です。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』
著:志賀 貢
病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊。細胞、血液、がんーー生命の不思議と病気の原因を、面白くわかりやすく探る!
公開日:2023.08.02