誤った学習をさせてはいけない
飼い犬に留守番をさせて外出したときなど、帰宅すると一目散に駆け寄ってきて、飼い主の口のまわりをペロメロなめることがあります。お迎えしてくれるのはうれしいのですが、顔がヨダレでベタベタになりますし、女性の場合はお化粧も気になるところです。
しかし、これは飼い主を母親とみなして甘えている行動です。甘えているのですから、追い払ったり「こら、やめなさい!」と叱りつけたりすると、犬は「自分のことを愛してくれていないんだ」とガッカリしてしまいますし、「そんなこと言わないで、もっと愛して」という気持ちで、さらに顔をなめようとします。
だからといって「よしよし、いい子だよ.」となで回すのも考えもの。このようにして甘やかすと、犬はますます興奮して暴れ回り、言うことをきかなくなってしまいます。
さらに「ペロペロなめれば、ご主人様が喜んでくれるんだ」と誤った学習をして、顔のなめグセがついてしまいます。
こんなときは「おすわり!」「待て!」などの命令をしてみましょう。これでかなりの興奮を抑えることができます。そして落ち着いてから頭や背中をなでてやりましょう。こうした習慣をつけておけば、「顔をなめる=ご主人が喜ぶ」と思わなくなります。
ところで、犬が飼い主の口のまわりをなめたがるのは、オオカミ時代の名残りだといわれています。オオカミの子供が母親の口のまわりをなめると、母親は一度食べたものを吐き戻します。子供はこれをエサにして成長します。つまり、口のまわりをなめるのは、母親に食事をおねだりしているのと同じなのです。
出典:『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』監修/藤井聡
【書誌情報】
『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』
監修: 藤井 聡
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公開日:2021.12.10