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わが子をささげるアブラハム【聖書】

Text:渋谷伸博

献げ物の重要性を伝える強烈なエピソード

神はアブラハムにこう言いました。

「あなたは生まれ故郷、父の家を離れて、わたしが示す地に行きなさい。わたしはあなたを大いなる国民にし、あなたを祝福し、あなたの名を高める、祝福の源となるように」神はアブラハムを召命して以降、繰り返し「多くの国民の父」となることに触れています。

しかし、アブラハムは召命を受けた時、すでに75歳になっていました。美しい妻(サラ)はいましたが、子どもを授かってはいませんでした。

彼は神の命に従って旅を続けますが、サラとの間には子どもはできず、しだいに2人は老いていきました。ソドムとゴモラを滅ぼすために天使がアブラハムの前に現れた時、アブラハムは99歳を越していました。

そのため、天使が「来年にはサラが男の子を産んでいるでしょう」と言った時、サラは密かに笑ってしまうのを禁じえませんでした。

しかし、天使は「主に不可能なことがあろうか」とサラをとがめました。

 

そして、その言葉通りサラは男の子を産み、その子はイサクと名づけられました。

アブラハムはイサクを大切に育てましたが、ある時、神はそのイサクを* 燔祭(はんさい)にするよう命じたのです。

アブラハムは神が命じた場所にイサクを連れていき、祭壇を築いて薪(まき)の上にイサクを寝かしました。そして、刃物をイサクに振り下ろそうとした瞬間、天使が現れアブラハムを止めたのです。

 

自分の独(ひと)り子でさえ神にささげることを惜しまないほどアブラハムの信仰心が堅固であることを、神は確かめたのでした。

用語解説 *燔祭 羊や山羊などを煙になるまで焼き尽くして神にささげることをいう。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 聖書』
著者:渋谷伸博  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1960年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。宗教史研究家。よみうりカルチャーなどで神話をテーマとした講座も開講している。著書多数。近著に『一生に一度は参拝したい全国の神社めぐり』『聖地鉄道めぐり』『神々だけに許された地 秘境神社めぐり』『歴史さんぽ東京の神社・お寺めぐり』(いずれもジー・ビー)、『あなたの知らない般若心経』(宮坂宥洪監修、洋泉社新書)、『諸国神社 一宮・二宮・三宮』(山川出版社)などがある。


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