毒の入り方にも種類がある
毒が体内に侵入する経路は複数あります。そして、その経路によって毒の効き方は異なります。まず、可能性がいちばん高いのは口からの侵入でしょう。毒を含むものを食べたり飲んだりすることで体内へと入ります。この場合、毒が作用する特定の部位へと至るまで症状があらわれないことがほとんどです。毒は体内に入ると消化管から吸収され、血液とともに全身を循環して、ターゲットの部位へと到達します。そのため、消化の過程で毒性が弱まることもある一方、逆に消化によって毒性が高まってしまう可能性もあります。
次に、目や鼻からの侵入です。ガスのように気体に毒が溶け込んでいる場合、それを吸引したり、目に染みたりすることで体内へ侵入します。また、注射による侵入もあります。注射器で毒を注入するほか、ハチに刺されて毒が体に回るといったことも考えられるでしょう。注射には静脈注射と筋肉注射があり、静脈注射の場合は血液に直接毒が流れ込んで特定の部位に運ばれていくため、効き目が速いです。一方、筋肉注射はよりゆっくりと効いていきます。
さらには、触れた箇所から毒を吸収してしまうこともあります。この場合は肌がただれたり、かぶれたりと、すぐに症状があらわれることが多くあります。
毒の侵入経路
ガスが目に染みたり、鼻から吸い込まれたりするほか、口から毒を摂取するパターンや皮膚に毒が接触するパターンも考えられる。また、かまれたり刺されたり、点滴や静脈注射、筋肉注射によって血管から直接体内に侵入することも。
口から侵入した場合の毒の効き方
①口から侵入して体内へ
②吸収
多くの場合、毒は小腸で吸収される。
③ 運搬
吸収された毒が血液によって全身の組織や臓器へと運ばれていく。
→代謝によって毒性が弱まったり、逆に毒性が高まったりすることもある
④ 特定の部位に到達
ターゲットの部位に届くと毒が作用する。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』監修:船山 信次
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』
監修:船山 信次
日常生活のなかで、毒性のあるものを誤食したり、毒を持つ生物に触れたりして中毒症状が出たというケースは少なくありません。
スイセンやキノコの誤食など毎年のように発生しており、毒は非常に身近な存在です。
本書はまず毒とはなにかという毒の定義や作用などの基礎を化学や薬学の知識がない人にもわかりやすく解説。
例えば「地球上で最凶の毒は?」「青酸カリって舐めても大丈夫?」など、気になる毒の雑学とともに紹介します。
また、毒を持つハチ、カエル、クラゲなどの生き物やスイセン、アジサイ、トリカブト、カエンタケなどの植物やキノコ、アスベスト、ダイオキシン、火山ガスなど環境系の毒、
依存度が高いコカイン、危険ドラック、覚せい剤などの麻薬……etc.
人体に影響を及ぼすあらゆる毒を収録!
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公開日:2025.03.04
