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毒を持つにはわけがある生き物たちの毒による生存戦略【眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話】

Text:船山 信次

毒を持つにはわけがある生き物たちの毒による生存戦略

毒は生きのびるための武器

地球上に生命が誕生して以来、多くの生物種が誕生しました。しかし、そのすべてが現在まで生きのびたわけではありません。進化の歴史のなかで、環境に適応できるものだけが生き残り、適応できないものは滅びていきました。これを「適者生存」といいます。

生き物が持つ毒は、そうした生き残りのための生存戦略の一環と考えられます。人間が脳を発達させ、知性を武器に文明を築くことによって生き残ってきたように、一部の生き物は毒を有するに至ったことが生き残りのための武器となったのでしょう。

では、彼らは具体的にどんな用途・目的で毒を使っているのでしょう。これには大きく「攻撃(捕食)」と「防御」の2種類があります。たとえばクモやサソリ、ヘビの毒は獲物を弱らせるための毒です。また、上位の捕食者への反撃にも用います。このように攻撃のために毒を使用する生き物の多くは、針やキバなど特殊な器官を持っています。

一方でフグやカエルの毒は、主に身を守るための毒です。仮にみずからが食べられたとしても、捕食側の種がそれを学習すれば仲間や子孫は捕食をまぬがれることができます。つまり、個体が犠牲になっても種が存続すれば、それは進化のうえでは勝者なのです。

生き物が毒を持つ2つの理由

攻撃(捕食)のため

獲物を殺したり弱らせたりするための毒。キバやツメなどを使って、相手の体内に毒を注入する。

防御のため

捕食者から身を守るための毒。体内や体の表面に毒を持つことで、捕食をまぬがれる。

フグの毒は食物連鎖で蓄積したもの

フグ など ← 巻き貝、エビ、カニ など ← 毒を産生する海洋微生物

フグ毒(テトロドトキシン)は体内でつくられたものではない。海中の微生物が産生し、その微生物を取り込んだ巻き貝などをさらにフグが食べることで体内に蓄積される。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』監修:船山 信次

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』
監修:船山 信次


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