さまざまなお葬式のスタイル
近年のお葬式の傾向
従来の大規模葬は減少傾向にあり、伝統的な形式にこだわらないお葬式、または規模を縮小して行うお葬式が増えてきました。決まりごとに縛られない自由葬や、近親者や親しい友人などで行う家族葬がそうです。
同様に新しいスタイルのお葬式を扱う葬儀社も増えてきましたが、葬儀社によって名称の認識や施行の経験に差があるので、主旨を伝え、すれ違いがないように内容を話し合うことが重要です。
自由葬・無宗教葬
「自由葬(オリジナル葬)」は、故人とゆかりのある場所を式場に選んだり、故人の趣味を反映させたプログラムを組み込んだりするなど、故人らしさを演出できます。「無宗教葬」は、自由葬の中で特定の宗教宗派によらないお葬式を指します。
お別れ会・偲ぶ会を催す
お別れ会は告別式を独立させたようなもので、友人、知人、関係者などを招いて催し、無宗教で行うことがほとんどです。偲ぶ会は、一周忌や祥月命日に合わせて、友人や関係者が実行委員となって企画。時間の制約がなく、自由な形式や場所で行えるのが魅力です。
家族葬・密葬
近年、遺族や親族、とくに親しい友人など、限られた人数で執り行うお葬式を「家族葬」と呼ぶようになっています。僧侶を招いて読経だけを依頼する場合もあれば、無宗教で行う場合もあります。2020年前後に流行した感染症の影響から、少人数で行う家族葬は広く定着しつつあります。
「密葬」は、火葬後に日をあらためて遺骨で「本葬」を執り行うのを前提に、遺族のみで内々に弔うものです。よって、1 回で済ませるお葬式は、本来は密葬とはいいません。現在は小規模のお葬式を指して密葬と呼ぶケースが多くなっているため、家族葬との区別があいまいになっています。
直葬
通夜や葬儀など儀礼的なものを省略して火葬だけを行うことです。死後 24 時間は法律によって火葬できないので、遺体を自宅外(火葬場の冷蔵保管室や民間の遺体保管施設など)に安置してから翌日火葬します。近年、とくに都市部では、費用の面から直葬を希望するケースが増えています。
儀礼的なものを行わないということをよく考え、のちに後悔しないように家族内で話し合いましょう。
【出典】『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』著:奥田 周年
【書籍情報】
『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』
著:奥田 周年
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公開日:2024.09.03