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「私では役不足で…」は間違い!正しい伝え方とは?【 頭がいい人の敬語の使い方】

Text:本郷陽二

「私では役不足で……………」の傲慢

日本には、謙譲の美徳を重んじる文化があります。それを端的に表現するために使 われるのが敬語です。しかし、使い方を誤るととんでもないことになります。

仕事でプロジェクトのリーダーに抜擢されて、スタッフを前にあいさつをするとき、ここは1つ、謙虚さをアピールしてリーダーとしての度量の大きさを見せようと、こんな言い方をしたら?

「思わぬお役目をいただきました。私では役不足ですが、全力投球で頑張るつもりです。みなさん、ご協力よろしくお願いいたします」

非の打ちどころのないあいさつだと言いたいところですが、残念ながらこれは大失態。「役不足」の使い方を完全に間違えています。「役不足」は与えられた仕事やポジションが、能力には見合っていない、能力に対して軽すぎるという意味で使う言葉です。上司が部下に対して、

「今度のプランは君が中心になって進めてくれ。規模的には小さくて、君には役不足だろうが、よろしく頼む」

というように使うのなら、まったく問題はありません。

ところが、大役をもらって「役不足」を使えば、意味はこういうことになります。

「私の実力からしたら、たかがプロジェクトのリーダーなどはふさわしい仕事とは到底思えない。もっと重要なポジションについてしかるべきなのに」

大役を与えた上司は怒り心頭。あいさつを聞かされたスタッフは、傲慢さに唖然と するのは必至です。もちろん、言いたかったのは「私の実力以上の大役をいただいて ……」ということ。このケースで使うべきだったのは「力不足」です。

「私では力不足ですが、全力投球で頑張ります」

これでこそ、リーダーとしての謙虚さが伝わろうというものです。

「役不足」と「力不足」。たった一字違うだけですが、その意味は大違い。社内ならまだしも、対外的な仕事の場で使い方を誤ったら、「リーダーといってもあの程度なのか」と自社の評価を下げることになる恐れだってあります。使用法を誤らないように、くれぐれも注意してください。

【出典】『頭がいい人の敬語の使い方』著:本郷陽二

【書籍情報】
『頭がいい人の敬語の使い方』
著:本郷陽二

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