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唸る真っ直ぐとシンカーを武器に見習い枠から勝ちパターンへ!横山陸人/千葉ロッテマリーンズ

Text:小林雄二

唸る真っ直ぐとシンカーを武器に見習い枠から、勝ちパターンへ!

⚫︎千葉ロッテマリーンズ
横山陸人

「僕の投球は誰も見ていない」からのスタート

西武の豆田が地元・埼玉出身の期待の星なら、こちらの横山陸人も地元・専大松戸出身の期待の星(※出身地は東京)。武器が直球というのも豆田と横山陸人の共通項なのだが、豆田が真上から投げ込むオーバーハンドなのに対し、横山陸人は横から投げ込むサイドハンダーで専大松戸時代は最速148キロを記録。打者からすれば数字上は同じ球速でも、オーバーハンドよりサイドハンドの投手のストレートは速く見えるというのはよく言われることだが、横山陸人の場合は、昭和の名サイドハンド・齋藤雅樹にちょっと似たフォームで腕の振りが柔らかくて滑らかなためか、打者目線ではない“テレビ目線”でも球速以上のスピード感を感じられるのだ。球威があって打者を押し込めるこの真っ直ぐに加え、右、左、いずれの打者に対してもビシバシとインサイドに投げ込むハートも横山陸人の魅力。

その横山陸人は2019年のドラフト4位で入団、今年が高卒4年目のシーズンだった。ちなみに同年のロッテのドラ1は令和の怪物・佐々木朗希。高卒1年目の春季キャンプで初めてブルペン入りした佐々木朗希の奥で同じく初めてのブルペン入りした同じ高卒ルーキーが横山陸人だったのだが、本人いわく「誰も僕のピッチングは見ていない」。そんなこんなのプロ生活のはじまりだった。

これは将来的に、いいリリーバーになる

とはいえ、見る者は見ていた。それが当時、投手コーチだった吉井理人現監督だ。吉井現監督は佐々木を一軍の春季キャンプ抜擢を決めたときにペアとして横山陸人を指名。ただし「申し訳ないけど、(あくまでも)朗希のペアとして」。ところが初めて横山陸人のキャッチボールを見ると認識は一変、「ビックリした。球が強かった。これは将来的にいいリリーバーになると思った」という。令和の怪物と“対峙”したことによって、本来持っているポテンシャルよりもむしろ印象は薄くなっても不思議はないのだが、横山陸人は逆に評価を上げているのだから、いかにいい球を投げていたかがよくわかる。佐々木朗希に喰われなかったのだ。ちなみに吉井現監督は当初より「(佐々木朗希は)5年で完成する計画」と公言。横山陸人については「4年目で、一軍で投げるようになるというイメージ」だったという。

結果から言うと横山陸人は2年目に1軍デビューを果たし10試合に登板、9回2/3を投げて11奪三振を奪うなど、その能力をファンにチラ見せ。ところが一軍定着を期待された昨年は、一軍での登板はわずか1試合。イースタンでは35試合に登板も防御率は4.05。好不調の波も激しく、もがき苦しんだシーズンとなった。同年オフの課題は「変化球。そういうところの強化と、1年間投げ抜く体力強化を意識して自主トレに」取り組んだ。

そして迎えた今季。今年は春先に1軍に帯同するもいまひとつピリッとせず。ところがイースタンでは4月19日のヤクルト戦から13試合連続無失点に抑えるなど好投を続け、6月4日に一軍再登録されると、150キロを超える直球が一軍でも威力を発揮。そこからが、横山陸人の“今シーズン”がはじりだった。

だいぶ近づいてきているのかなと思います

まずは昇格直後の6月5日阪神戦では7ー7の同点で迎えた延長12回、6月15日の中日戦では1ー1、同じく延長12回で1点を取られるとサヨナラ負けという場面で登板し、いずれもきっちり0点に抑えてみせた。一軍での経験がそれほど多くない高卒4年目の若手を、そういった場面で使っているあたり、吉井監督の期待のほどが見てとれる。

内容的に注目したいのは、自慢のストレートのみならず、課題としてきた変化球の1つ、シンカーでも三振を奪えるようになったことだ。たとえばプロ入り初ホールドを記録した7月6日の西武戦では高木に対して全てシンカーで奪三振。

「一回、ファームに落ちたときにいろいろ、コーチの方だったりに話を聞いて、(まだ)自分の理想とする変化ではないですけど、だいぶ近づいてきているのかなと思います」

使える変化球を手に入れたことで、唸る直球が生きてくるのは言わずものがな。

そして7月9日の日本ハム戦ではプロ初セーブ、同23日のソフトバンク戦ではプロ初勝利と、最昇格後はトントン拍子でステップアップ。終わってみれば38試合に登板し、2勝3敗、8H、1S。投球回数39回1/3で奪三振数は42。防御率は5.26も躍動感あふれるダイナミックなフォームから繰り出す150キロ超えの直球と、進化の途中ながらも武器となってきたシンカーは、斎藤雅樹氏も「こういうピッチャーはどうしても左を苦にする人も多いですが、この球があれば十分対応できる」と太鼓判。

プチブレイクから、ブレイクへ。吉井監督の言う「(今年までは)見習い枠」から勝ちパターン入りへ、準備は整った。