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目標は15勝!今季ブレイク最有力候補の幕張の未来を担うハイブリッド投手!中森俊介/千葉ロッテマリーンズ

Text:小林雄二

今季ブレイク値、最高値はこの選手!幕張の未来を担うハイブリッド投手

⚫︎千葉ロッテマリーンズ
中森俊介

甲子園では蒼々たるメンバーと対決

某サイトでも紹介されているのでここで取り上げるのはちょっと迷ったのだが、今季、ブレイクする確率がかなり高いと思われるのが、中森俊介だ。明石商時代は現・オリックスの来田涼斗との両輪で甲子園を沸かせたことを覚えておいでの方も多いのではないだろうか。

その甲子園には1年の夏から出場。2年春のセンバツでは初戦の国士舘戦で146キロ、2回戦の大分戦では147キロと自己最速を立て続けに計測する快投でベスト8に進出すると、準々決勝では東妻純平(現DeNA)、黒川史陽(現楽天)らを擁する智弁和歌山と対戦して完投勝利。準決勝では石川昂弥(現中日)の東邦と対戦、2ー4で敗れるも8回を4安打、9奪三振と投球内容は上々だった。
 夏は初戦で韮沢雄也(現広島)、井上朋也(現ソフトバンク)擁する花咲徳栄に完投勝利、準々決勝では武岡龍世(現ヤクルト)の八戸学院光星を撃破し、チームを春夏連続のベスト4に導くと同時に、この試合では自己最速(当時)となる151キロを記録。続く準決勝では井上広大(現阪神)、小深田大地(現DeNA)のいる履正社に敗戦するも、蒼々たるメンバーに対して高校生離れした快速球とスライダーを軸に熱戦を繰り広げた戦いぶり&投げっぷりは鮮烈であった。

3年のセンバツでは出場が内定していたものの、新型コロナウイルスの影響で大会は中止。夏も同じくコロナ禍によって“本戦”は中止となったが地方大会は突破しているので、事実上、5度、甲子園へコマを進めた同校の原動力になったのは中森と前述したチームメートの来田。同年のドラフトで中森は千葉ロッテから2位指名を受けるのだが、もし仮に夏の甲子園大会が開催されていたのであれば、「ドラ1」が順当だったのでは…と思われる逸材だ。

一軍で活躍している選手は、追い込んでいる

順位はともかく、中森は新入団会見の場での宣言がこれだった。

「1年目の目標は15勝を挙げることです」

「15」はともかく、なんなら「5」くらいは勝てるのでは…と思わせる完成度を、この時既に備えていたように思う。とはいえ、現在のロッテも高卒1年目は身体作りとフォーム固めに主眼を置く方針のため、中森の意気込みとは裏腹に土台作りに終始。ルーキーイヤーはファームでも登板はなく、対外試合も社会人チームとの練習試合とフェニックス・リーグのみの登板だった。中森によると「投げる部分において下半身が大切になってくるので、ウエイトで重い重量を上げることもそうですし、日々のキャッチボールから下半身を意識して投げることをやっていました」という1年。ただし、「(肝心な)フォームがなかなか安定しなかった」とも。

一方で当時、リハビリ中だった西野勇士や種市篤暉、石川歩、美馬学といった面々に話を聞いたり、それこそ見て盗める環境のもと、「一軍で活躍している選手は、自分自身を追い込んで練習しているんだなと背中で感じました。(そういう意味でも)凄く内容の濃い一年」をおくった一年でもあったようだ。

打者をずらす「ゴロピッチャー」

2年目の2022年は二軍で公式戦デビュー。試合数としては物足りないようにも映る6試合登板に終わったが、それでも20イニングを投げて防御率は0.90。ささやかながらも質の高い数字を残している。

そして迎えた3年目の2023年シーズンは開幕一軍入りを果たし、3月31日ソフトバンクとの開幕戦で3点ビハインドの場面で初登板を果たすと150キロ超の直球をお披露目するなど、2/3を無安打無失点で上々のデビュー。3試合目の登板となった4月5日の日本ハム戦ではプロ初勝利。シーズン後半の大事な時期に2試合先発を経験するなど、13試合に登板して投球回数20回1/3、防御率は3.52は今季のブレイクに向けたウォーミングアップといったところか。奪った三振は10と多くはないが、最速152キロの直球とスライダーを軸にゴロを打たせる、いわゆる「ゴロピッチャー」らしさは垣間見える内容でもあった。

心技体の「心」の部分も「いいものがある」

なかでも印象深かったのはクライマックスシリーズでの好投だ。

まずはソフトバンクとのファーストステージ第二戦(10月15日)。1ー3の7回、二死二塁のピンチで登板。最初の打者・野村大樹にいきなり3ボールとするも「勝負するなかで3ボールになっただけ。焦ることはなかった」と動じることなく、146キロの外角への直球と内側のスライダーでフルカウントとし、最後はチェンジアップで空振り三振に切ってとると、続く8回は三者凡退投球を披露。

ブルペンデーとなった10月20日、オリックスとのファイナルステージ第3戦では二番手として登板し、3回を1安打無失点、4奪三振。打者のタイミングを外すチェンジアップを効果的に使い、相手の反撃を許さなかった。

CSでの内容を受けて「打者に向かっていく。負けられない試合で素晴らしい投球をしてくれた」と黒木知宏投手コーチがいえば、小野晋吾投手コーチも「メンタルの強さ、考え方はいいものがある」と評価するなど、心技体の「心」の部分も中森のストロングポイントだ。

結局、CSでは3試合、5回1/3を投げて1安打、5奪三振、無失点、2H。大事なシーズン終盤、大事なシリーズで放った存在感は決して小さくなかったように思う。

二段階成長した姿を見せられるように

シーズン終了後の11月下旬にはオーストラリアのウインター・リーグへ約1カ月間、武者修行に出かけた。

「長いイニングを投げさせてもらえるということなので、しっかり投げられる体力と、一段階、二段階成長した姿を見せられるように頑張りたい」(中森)というように、チームとしては今季の中森は先発要員として投げさせる方針だ。

2024年の目標は「(2023年は)一軍で20イニング、二軍で40イニング、合わせて60イニングほどしか投げられていないので、その倍の120イニング。先発でいったら6回を20試合。そういうところを目標にしています」という中森。

少し気が早いかも知れないが、今季のロッテのキーマンになるのはこの男かも…と考える。

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