SPORTS COLUMN
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嵐と握手したすごい人【ようこそクライミングの世界へ】

Text:尾川とも子

学校公演での惹きつけ方

 こんにちは、プロクライマーの尾川とも子です。スポーツクライミングの現役を退いた後は、イベントや教室、講演活動などを行っています。オリンピックで正式種目となり子供たちの間でも、ボルダリングをジムで体験したことのある子がとても増えました。しかしそれ以前は、ほとんどの子供たちがスポーツクライミングのことを知らなかったので、自己紹介DVDを流す時に、大会の映像のほかにメディアに出たエピソードなどもお話しします。

 そうすると「よく分からないスポーツの人が来たなぁ」と眺めていた子供たちが、「えー!あの番組出た人なの!!」と一気に注目して話を聞いてくれるようになりました。

私じゃなくて…

 小学校での講演後に、子供たちは私の腕の筋肉や、太く変形した指に興味津々で触りに来ます。しかし、中学校・高校の講演になると、ほぼ90パーセントの確率で「嵐と握手したすごい人」として見られていることが分かり、私はココロの中で「私じゃないのね」といつも笑っていました。

すごさを伝えることは難しい

 自己紹介のDVDには、私がかつて登った「世界の女性初‘V14‘の岩」のチャレンジした映像を流します。‘V14‘というのは岩の難しさのレベルを表しており、V0-17まであります。しかし、映像では簡単そうに登っているように見えることから、難しさを伝えるのにとても苦労しました。

「割りばしのついた天井をつまんで登っているような感じ」と伝えてみたとしても、なかなか子供たちにはイメージが湧きづらいようです。しかし「3年で700回くらい、落ちても、落ちてもチャレンジした」と伝えると、「えー!!そんなにも!」という反応が返ってくることが分かりました。何度も落ちても起き上がり、あきらめずに登り続けた私のこの岩のチャレンジが、子供たちの中に響いてくれたらうれしいなと思い講演を続けています。