プロ入り後、上位指名選手をごぼう抜き!?ドラフト下位指名からの下克上列伝
実力勝負のプロ野球の世界。スタートラインさえ違えど、己の体ひとつで成り上がった元隠し玉たち。ドラフト指名時にはあまり知られていなかったが、チームの主力に成り上がった男たちの下克上を紹介したい。
本来は指名されない投手!3軍制の利が生んだエース
【千賀滉大/福岡ソフトバンクホークス】
2010年育成ドラフト4位
ソフトバンクはおろか、「日本のエース」ともいわれる千賀滉大。ただ、高校時代はまったく無名の選手で担当スカウトですら地元スポーツ店のオーナーからの推薦でその存在を知ったというのは語り草だ。
それもそのはず、高校時代の千賀はほとんど投げていない。ヒザ痛のため、2年秋、3年春と公式戦登板がなく、3年夏もレフトと兼任だった。最速は144キロだったが、現代の高校野球では飛び抜けた数字でもない。それでもスカウトの小川一夫氏は肩ヒジの柔軟性とサイズ感に目を付け、獲得を進言した。
本来であれば、この手の素材は大学野球でブレイクするのだが、ソフトバンクが翌年に三軍創設を控えていた「利」もあった。
入団当初は練習にもついていけないほど貧弱だったが、若者の成長は早い。持ち前の向上心で体力作りに励むとその年のうちに最速151キロを記録した。化けるか、化けないかを読み取るのは至難の業。あったのは最高の環境。人事を尽くして、大エースが誕生した。
出典:『がっつり! プロ野球(32)』
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公開日:2022.10.23