打率は1割台で三振も多い。だが応援したい
中日の根尾昂が5月4日、3回1死満塁のシーンでプロ入り初ホームランとなる満塁弾を放ち、対DeNA戦8対4の勝利に貢献した。
今季は「8番レフト」で先発出場の機会を数多く得ている根尾昂。だが打率は.189(5月4日時点)、三振は27とチームで最も多いなど期待に応えきれていない。それでも先発出場出来ているのは18年ドラフト1位入団選手への期待と根尾昂の野球への真摯な姿勢の結果だろう。
まだ1本の本塁打を放っただけで「ブレイク」などとは言えないが、期待を込めて過去の「大物選手の高卒3年目」を上げてみたい。
イチロー、そして立浪和義
まず「高卒3年目にブレイクした選手」として上がるのがイチローだ。
イチロー(91年ドラフト4位)
1年目 打率.253(95-24)0本塁打5打点
2年目 打率.188(64-12)1本塁打3打点
3年目 打率.385(546-210)13本塁打54打点
イチローはオリックスへ91年ドラフト4位入団。2年目までは「知る人ぞ知る」といった存在だったが、94年3年目の大ブレイクによって、社会現象にまでなった。
中日のレジェンドである立浪和義はどうだったかと見てみると
立浪和義(87年ドラフト1位)
1年目 打率.223(336-75)4本塁打18打点
2年目 打率.235(85-20)2本塁打8打点
3年目 打率.303(511-155)11本塁打45打点
立浪和義は高卒1年目から開幕戦にフル出場。シーズン22盗塁、ゴールデングラブ賞獲得という素晴らしい成績を残したが、2年目はケガの影響で大きく数字を落としている。が、3年目に打率3割を残し、レジェンドへの道を突き進むようになった。立浪和義は二塁打でNPB最多記録を残している(487二塁打)が、この3年目にも33二塁打を放っている。
3年目を飛躍のキッカケにした現役選手
現役選手に目を移すと山田哲人(ヤクルト)と鈴木誠也(広島)がいずれも3年目にブレイクのキッカケを掴み、4年目の飛躍につなげている。
山田哲人(2010年ドラフト1位)
1年目 1軍出場ナシ(CSには出場)
2年目 打率.250(44-11)1本塁打1打点
3年目 打率.283(350-99)3本塁打26打点
4年目 打率.324(596-193)29本塁打89打点
この4年目の193安打で2014年最多安打のタイトルを獲得。翌15年と16年にはトリプルスリーを達成している。
鈴木誠也(2012年ドラフト2位)
1年目 打率.083(12-1)0本塁打1打点
2年目 打率.344(64-22)1本塁打7打点
3年目 打率.275(211-58)5本塁打25打点
4年目 打率.335(466-156)29本塁打95打点
この4年目は「神ってる」が流行語となった2016年である。広島の25年ぶりの優勝に大きく貢献し、3連覇の立役者にもなっている。
果たして根尾昂はどのような「高卒3年目」を送ることになるのか。今季プロ野球を見る楽しみの一つだ。
公開日:2021.05.05