スペインの初優勝で幕を閉じた、サッカー女子ワールドカップ。
準々決勝でスウェーデンに敗れ、惜しくもベスト4進出は逃したものの、日本は予選リーグでスペインに黒星をつけ、さらに今大会5ゴールを挙げた宮澤ひなた選手が得点王に輝きました。
決して簡単な組み合わせではなかった予選リーグを全勝という形で突破した今大会の日本代表チーム。
試合をきちんと追えていたわけではないため戦術的な部分は全くといって触れられないのですが、様々なメディアから声を拾う中で得た印象は、とてもチームを尊重する組織だなということ。
メンバー選出やスウェーデン戦での起用法など、客観的に見ながら「チームとして」に振り切る考えは汲み取れましたし、予選リーグでの快進撃の一因にもなっているように感じています。
一方で、予選リーグで戦い方や選手の個性のある程度把握された状態で一発勝負に臨むことになる決勝トーナメントに関しては、良くも悪くも空気を読まずチームをかき混ぜるような「個」の存在が欲しかったかなと。
今大会では若き才能たちの存在も世界に披露されることとなりましたが、個人的に思うのは今回の悔しさをバネに、少しでも早く戦いの舞台を世界に移すことが伴になるのではないでしょうか。
自身の経験や周りを見ていて感じることは大学年代をどの環境下で過ごすかということが人間的な部分に大きく影響を与えます。
私は大学生の期間をアメリカで過ごし、日本では主張が強すぎる性格ゆえに苦労も少なくないですが、周りとは違う尖り方を武器として磨くことができます。
そしてこれは世界に進出したときに、日本人としての能力を超えて「個」の存在として求められるかという部分に繋がってくるように思っています。
自分よがりに選択をせず、話題に火がついている間に国内をまず盛り上げてからという声も上がっているようですが、はっきりいってその判断は100%選手に委ねられるべきですし、リーグを盛り上げろというタスクは選手以外にも帰属するはずです。
個人的に一番衝撃だったのは、世界の名だたるクラブ名と実業団のような名称が同列するメンバー表を目にした瞬間です。
2011年に世界一に輝いた功績を次に繋げられなかったという文脈で多く語られていますが、もしかするとそのもっと前の時代から、この国の女子サッカー界は歩みを止めてしまっているのかもしれないという印象を抱かざるを得ませんでした。
世界では現場の健闘を尊重し、追い風を吹かせるアクションが様々な国でみられるようになったこの時代に、この国のプロリーグはどのような思考を凝らし、文化を創りあげていくのか?
少なくともスポーツ界だけの鎖国状態ではなかなかに厳しいタスクだと思うので、どんどん世界を広げ、多様な価値観や文化を取り入れていくことが第一歩なのではないでしょうか。