西武ライオンズ戦力分析2024
投手陣は12球団トップレベル!5年ぶりVへ課題は打線の強化
2018~2019年にリーグ連覇を果たした際は12球団屈指の破壊力を誇る“山賊打線”で他球団をねじ伏せるような戦いぶりを見せたが、浅村栄斗、秋山翔吾、森友哉ら、当時の主力打者が相次いで他球団へ流出。今季も山川穂高がFAでソフトバンクへ移籍し、リーグ連覇時の主力で今もレギュラーを張るのは源田壮亮と外崎修汰、大ベテランの中村剛也くらい。チームはここ5年で様変わりし、気づけば「打のチーム」は「投のチーム」へと変貌を遂げている。
昨季はリーグ5位に沈んだものの、投手陣、特に先発陣の顔触れは12球団屈指と言っていい。髙橋光成、今井達也、平良海馬の3投手は全員がタイトルを狙えるレベル。さらに大卒3年目の隅田知一郎が昨季9勝と伸び盛り。サブマリンの與座海人、本格派右腕の松本航、渡邉勇太朗に、ドラフトでは大学ナンバーワン左腕の武内夏暉を獲得と、左右のバランス、質、量すべてで充実の陣容をそろえる。未知数とはいえ、スケール感抜群の192センチ左腕・羽田慎之助や先発転向のボー・タハカシといった面々も台頭すれば、「投手王国」はさらに強固なものとなるはずだ。
リリーフ陣は増田達至の勤続疲労が気になるところだが、平井克典、水上由伸、ソフトバンクから移籍した甲斐野央などメンバーはそろっており、大崩れはなさそう。増田達至が不調の際には甲斐野央のクローザー抜擢などもありそうだ。
一方で最大の課題でもある打線は、まだまだ手を加える必要がありそう。絶対的なレギュラーと呼べるのは源田壮亮くらいで、外崎修汰もここ数年はやや苦しんでいる。中村剛也は昨季も88試合出場で17本塁打とパワーを見せつけたが、すでに40歳を迎えておりいつまでも頼ってはいられない。2年目の蛭間拓哉、出戻り組の佐藤龍世、さらにはヘスス・アギラー、フランチー・コルデロ、アンソニー・ガルシアといった新外国人3選手の活躍も必須だろう。
伝統的に主力が流出してもその穴を埋める若い選手が台頭し、長期の低迷を凌いできた印象があるが、特に野手に関しては近年、流出のペースに育成が追い付いていない感が強い。投手陣が順調に成長している今だからこそ「打」の面では多少の我慢を強いてでも次世代の主力を見極め、育成する必要がありそうだ。
とはいえ、髙橋光成などチームには「メジャー志望」の投手もいる。近い将来、彼らがチームを離れるその瞬間までに戦力を整えておく必要があるはずだ。まずは極端な「投高打低」からの脱却。これが、5年ぶり優勝のカギを握る。