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佐々木主浩の「消える魔球」と称されたフォークには実は2種類あった!

Text:西沢 直

プロ野球界『伝説の魔球』列伝

プロもうらやむ伝家の宝刀!この球を投げられたら絶対に打てない、打たれない。あまりの変化にバットが虚しく空を切る。人間離れした変化球。リスペクトをこめて、人はそれを「魔球」と呼ぶ…。

驚愕の落差に呆然!
これぞ本物のフォーク

●佐々木主浩/横浜ベイスターズ,シアトル・マリナーズ
【魔球その1:フォークボール】

「佐々木主浩が出てくると、ああこの試合は終わったなって感じた。それはウチだけじゃなく、他の球団の選手たちも同じだったと思う」佐々木主浩が横浜で全盛期を迎えていたころ、巨人の4番としてチームに新風を吹き込んだデーブ大久保は後にこう語った。出てくるだけで相手チームの士気が下がる。そして、案の定、打てない。それほどまでに完.璧な抑各投手だったのである。武器は150キロを超える直球と伝家の宝刀フォーク。それは「2階からのフォーク」「消える魔球」などと呼ばれるほど落差のあるものだった。次はフォークだとわかっていても、打者のバットは空を切った。

実は、佐々木主浩のフォークには2種類あった。スナップを利かせて球に回転をかける140キロ台のものと、スナップを利かせずに投げるチェンジアップ気味のものだ。佐々木主浩の代名詞といえば、やはり前者だろう。バックスイングから投げ下ろしに切り替わる瞬間、右手首がクイッと後ろに折れる。もともと右手首を前に折ってセットアップするため、手首の振れ幅が大きく見をるのだ。そのスナップのリズムは実に小気味よく、人差し指と中指に挟まれた球がまるで浮遊しているように見えた。そして、投じられた球は信じられないほど落ちた。時にホームベースの手前でバウンドするほどだったが、打者には直球のストライクに見えた。バットに当たるはずがない。三振を奪っためのフォークであり、佐々木主浩の決め球だった。あれだけのフォークを持つ投手は、佐々木主浩以来出現していない。

 

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