オリックスバファローズ戦力分析2024
スーパーエースが移籍も…悲壮感を感じさせない充実の陣容
阪急ブレーブス時代の1978年以来、球団46年ぶりとなるリーグ4連覇を目指すオリックス・バファローズ。昨季は86勝53敗4分、2位の千葉ロッテマリーンズに15.5ゲームの大差をつけての独走Vと、黄金期を築いていると言っていい。
昨季までの経験値、若手の充実ぶりなどを見ると今季も優勝候補の筆頭格であることは間違いないが、それでも気になってしまうのが「絶対的エースの抜けた穴」だ。昨季まで3年連続投手四冠の山本由伸がメジャー移籍。さらには昨季11勝を挙げた山﨑福也も日本ハムへFA移籍。
昨季の成績は2投手合わせて46先発、27勝、294回1/3。これだけの穴を埋めるのは普通に考えれば至難の業だ……。しかし、今季のオリックスにはそんな“悲壮感”が一切感じられない。「エースが抜けても、若い投手が出てくる」という確固たる自信があるからだろう。先発陣の中心は3年連続2ケタ勝利の宮城大弥になるだろうが、「ポスト山本」という意味では3年目の山下舜平大に注目だ。昨季一軍デビューを飾ると、16試合の先発で9勝、防御率1.61、95回を投げて101奪三振と、いきなり“モノの違い”を見せつけた逸材。順当であれば今季は宮城と「左右のエース」として先発ローテを引っ張っていく存在だ。最速160キロのストレートに変化球はカーブ、フォークの2球種。それでもボールの威力で打者をねじ伏せるピッチングは「次世代のエース」と呼ぶにふさわしい。
宮城大弥、山下舜平大以外にも実績のある山岡泰輔や、コンディションさえ万全なら安心してローテを任せられる田嶋大樹、育成から這い上がり昨季終了時点でデビュー7連勝中の東晃平、ロッテから移籍したルイス・カスティーヨなど、山本由伸、山﨑福也が抜けた穴など微塵も感じさせない面々が揃っている。
リリーフ陣に目を向けても、次期クローザー候補筆頭の山﨑颯一郎、WBC優勝メンバーの宇田川優希、40歳となっても衰えを見せない守護神・平野佳寿ら、質・量ともに12球団トップクラス。やりくり上手の中嶋聡監督だけに、先発・リリーフともに負荷を最小限に抑えながら今季もしっかりと投手陣をマネジメントしていくはずだ。
野手陣に目を向けると、最大のトピックが西川龍馬の加入だろう。広島では昨季、リーグ2位の打率.305をマークした“天才打者”。ここ2年間は森友哉、西川といった強打者を相次いで補強しており、打線の破壊力は昨季を上回るだろう。西川は首位打者経験のある頓宮裕真や森、今季「3番宣言」の紅林弘太郎、ラオウ・杉本裕太郎といった主軸につなげる1~2番を任されることになりそうだが、チーム事情次第でクリーンアップを担うこともできる。西川龍馬の加入で打順のバリエーションはさらに増えることになりそうだ。
オリックスは昨季も打線の中心だった吉田正尚がメジャー移籍。それでもリーグ3連覇を成し遂げた。2年連続で“チームの顔”が抜ける事態となったが、昨季「吉田正尚が抜けても勝てた」という実績が確実にチームにとって大きな自信になっているはず。中長期的なチーム構築で若手育成に尽力し続けてきた成果が、ここにきて如実に表れていると言っていい。リーグ4連覇へ向け、今季もオリックスの強さは継続されそうだ。