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将来の絶対的エース候補。奥川恭伸をヤクルトが強く欲した訳とは?

Text:尾関雄一朗

いよいよキャンプイン。今年もまた新しいシーズンが始まる。中でも注目されるのが昨秋のドラフトを経て入団する1年目の選手たち。
いま改めて19年ドラフトのドキュメントをここにお届けする。

■19年ドラフトドキュメント①:奥川恭伸指名までの駆け引き

「第1巡選択希望選手――東京ヤクルト、奥川恭伸、投手、星稜高校」
ドラフト会場にアナウンスが響く。201 9年の運命の日は、この一声で幕を開けた。全国の野球ファン、各地の候補選手、そしてNPB球団のスカウトが読み上げを待つ。固唾をのみ、耳をすましながら。
ヤクルトはドラフト2日前、甲子園準優勝右腕・奥川の1位入札を公言していた。

数日前までは、即戦力の大学生ナンバーワン右腕・森下暢仁(明治大)への入札が有力視されていた。
橿渕聡スカウトグループデスクは「なぜかみなさんそう思っていたみたいですけど、森下とは一言も言っていないですよ。チーム状況や、僕の後輩の大卒ピッチャーという点もあり、そう思われたのかもしれませんが」とし、奥川に至った経緯をこう話す。
「スカウト間で意見を集約した結果です。森下や佐々木(朗希/大船渡高)を推す声もありましたが、チーム状況や3投手の現状も考え、高津(臣吾)新監督がオーケーを出せば奥川でいこうと。甲子園で圧倒的なピッチングをしていましたし、球が強く、シュート回転で真ん中に入ってくる嫌なコントロールミスがない。」
「今年、ウチは16連敗しましたが、絶対的なエースがいればどこかで連敗は止まっていたはず。奥川は比較的時間をかけずにそういう存在になってくれるでしょう」
公言に踏み切った理由として「奥川への意思表示。同時に、ウチが森下にいかないと示すことで、他球団が『森下をとりやすくなる』と思って森下に動いてくれたら……」と駆け引きを明かす。

続いて、オリックスの指名が流れる。
「石川昂弥、内野手、東邦高校」
いきなりのサプライズだ。当日の新聞報道では、最速163キロ右腕・佐々木への入札が予想されていた。それを覆し、高校ナンバーワン打者のもとへ向かった。

⇒オリックスの石川昂弥指名に他球団は?
次回19年ドラフトドキュメント②「石川指名というサプライズ」へ続く
ドラフトドキュメント②(別タブで開きます)
(初出:【野球太郎No.033 2019ドラフト総決算&2020大展望号 (2019年11月27日発売)】)

執筆:尾関雄一朗
1984年生まれ、岐阜県出身。
新聞記者を経て、現在は東海圏のアマチュア野球を中心に取材。
多くの「隠し玉選手」を発掘している。中日新聞ウェブサイト『中日新聞プラス』でも連載中。
アマ野球関連のラジオ出演なども多数。

【書誌情報】
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