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「2位まで残っているとは思っていなかった」万能型右腕とは?

Text:尾関雄一朗

今年もまた新しいシーズンが始まる。中でも注目されるのが昨秋のドラフトを経て入団する1年目の選手たち。いま改めて19年ドラフトのドキュメントをここにお届けする。

ヤクルト2位指名入団、吉田大喜投手は先発ローテも期待される万能型右腕だが、ドラフト時の評価は?

ドラフトドキュメント①奥川恭伸(別タブで開きます)

■19年ドラフトドキュメント⑥「すぐ使える投手が2位に残っていた」

ドラフト2位は、ウェーバー順により下位
球団から選択が進む。不本意ながら19年は最下
位に沈んだヤクルトは、真っ先に万能型右
腕・吉田大喜(日本体育大)を指名した。
「今年は上位4人、投手でいくと決めていま
した。なかでもピッチャーを13人、1位候補にリストアップして臨んでいました。
12球団の1位枠(12人)と、ウチが最初に選択でき
る2位枠を合わせて13人。」
「これを全員ピッチ
ャーで揃えるのは大変でしたが、吉田が2位
で残っているとは思わなかったです。すぐ使
えるピッチャーなので、他球団の外れ1位を
予想していました」(ヤクルト:橿渕スカウトデスク)

オリックスは大型遊撃手の紅林弘太郎(駿
河総合高)を指名。石川と同じ右打者である。
中日は成長著しい左腕・橋本侑樹(大阪商業
大)を指名。選手側の希望により、3位以下
なら社会人入りすることになっていた。

2巡目の進行を、ヤクルト・橿渕スカウト
デスクはある見通しを胸に見つめていた。
「野手がほしいチームは上位で挙げてくる。
そんな予想をしていました。昨年の2位指名
でも、思っていた以上に野手がバンバン上が
ってきましたから。」
「今年も野手の候補は多く
ない。ソフトバンクの外れ1位(佐藤直樹)も驚
きましたが、その傾向の表れでしょう」
ヤクルトはウェーバー順により、2位指名
はハナを切れるが、3位は最後になる。吉田
の後、22人も待たねばならない。その間に、
評価の高い投手が消えてしまっては困る。

展開はある程度目論み通りだった。日本ハ
ムは高卒3年目の快腕・立野和明(東海理化)
を指名したが、ここから広島が宇草孔基(法
政大)、ロッテが佐藤都志也(東洋大)、阪神
が井上広大(履正社高)、楽天が黒川史陽(智
辯和歌山高)と野手が続いた。
野手を補強したかった球団は、確保できて
ひと安心である。

広島・苑田スカウト統括部
長は「宇草は外れ1位の線も考えたほど。送
球難が指摘されているけど、人工芝だとワン
バウンド送球のイレギュラーが少ないから、
中継に入る内野手が全力で走って近づき、本
人が捕って早く投げればカバーできます」と
目尻を下げる。

上位をめぐる攻防が浮き彫りになった。
「昨年のドラフトだったら、もうひとつ順位
が下だったかもしれない野手が、今年の2位
や3位で挙がっている印象です。野手がほし
い球団は、そのとおりに順位を上げている。
宇草の2位指名も驚きましたが、バッティン
グは天下一品ですし、わかる気もします」(中日・米
村チーフスカウト)。
ヤクルトは3位を杉山晃基(創価大)、4
位を大西広樹(大阪商業大)の両大学生右腕
でまとめ、台所不安の解消に近づけた。

⇒19年ドラフトのトレンドとは?
次回19年ドラフトドキュメント⑦「前年の指名漏れ組は?」へ続く

ドラフトドキュメント⑦(別タブで開きます)
(初出:【野球太郎No.033 2019ドラフト総決算&2020大展望号 (2019年11月27日発売)】)

執筆:尾関雄一朗
1984年生まれ、岐阜県出身。
新聞記者を経て、現在は東海圏のアマチュア野球を中心に取材。
多くの「隠し玉選手」を発掘している。中日新聞ウェブサイト『中日新聞プラス』でも連載中。
アマ野球関連のラジオ出演なども多数。

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