SPORTS COLUMN
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95歳。CSの始球式に登場した「伝説の巨人キラー」とは?

Text:高橋安幸

2019年10月5日、横浜スタジアムで行われたセ・リーグのクライマックスシリーズファーストステージ第1戦。DeNAの前身=大洋ホエールズのユニフォームに身を包み、始球式を務めた球団OBの年齢を知って驚愕した。
御年95歳、今西錬太郎さん。
大洋がプロ野球に新規参入した1950年の開幕戦に先発し、記念すべき球団初勝利をもたらした投手だった。
いったい、どんな選手だったのか–。早速に取材を申し込んだ.

タイガース名スカウトが惚れ込んだセットアッパーとは?(別タブで開きます)

伝説の巨人キラー、今西錬太郎①「御年95歳のレジェンドOB」

眼鏡をかけたその人はDeNAの前身、大洋ホエールズのユニフォームに身を包み、高齢ながら足取り軽くマウンドに上がるとグラブにボールを叩きつけ、地面のロジンバッグを触った。
そして再びボールを叩きつけると、プレートの前の土を足でならした。始球式ではあまり見られない所作が続き、このまま試合が始まってもおかしくない、とさえ思えた。
横浜スタジアムのウグイス嬢による場内アナウンスが聞こえていた。

「今西さんは球団創設の地、下関にて、1950年の開幕戦に先発。見事、完封勝利で球団に初勝利をもたらした、御年95歳のレジェンドOBでいらっしゃいます」

スタンドから一斉に「ええーっ!」と歓声が上がった。テレビの前で僕も驚き、声を上げた。「みなさん、お聞きになりました? 95 歳だそうです」とアナウンサーが言った。
セ・リーグのCSファーストステージ第1戦で始球式を務めるのは、球団の初代背番号18、今西錬太郎さん。
矍鑠(かくしゃく)としている、と言うのもふさわしくないと思えるほど、ごく自然な所作でモーションに入って大きく振りかぶる。
山なりのボールはワンバウンドしてDeNA・伊藤光のミットにおさまり、阪神の1番打者・近本光司がきれいに空振りした。一礼して、満面の笑みでマウンドを降りていく姿を見て心動かされた僕は、反射的に〈今西錬太郎〉を検索した。
往年の野球人の取材を始めて21年、僕は意識してその名を見たためしがなかった……。

大阪・浪華商(現・大体大浪商)からノンプロの日本製鐵を経て1946年に阪急軍(現・オリックス)に入団。2年目の47年から2年連続で20勝以上を挙げ、49年も19勝。
セ・パ2リーグ分立の50年に移籍した大洋のほか、東映(現・日本ハム)でプレーしたことも知らなかった。
通算成績を見ると10年間で315試合に登板して88勝102敗、109完投も立派な数字だが、いったい、どんな投手だったのか。
そもそも、なぜ95歳で健在な上に、身のこなし軽く投球できるのか。僕は今すぐにでも会いに行きたいと思った。

取材協力:横浜DeNAベイスターズ、石塚隆
参考文献:『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)

ーー次回、【伝説の巨人キラー今西錬太郎②「お前、ちょっと来い」と呼ばれて】へ続く

(初出:【野球太郎No.033 2019ドラフト総決算&2020大展望号 (2019年11月27日発売)】)

執筆:高橋安幸
1965(昭和40)年生まれ、新潟県出身。日本大学芸術学部卒業。出版社勤務を経て、野球中心に仕事するライター。98年より昭和の名選手インタビューを続け、記事を執筆。著書に『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』(集英社文庫) などがある。現在、webSportivaにて『チームを変えるコーチの言葉』、『令和に語る、昭和プロ野球の仕事人』、『根本陸夫外伝 〜証言で綴る「球界の革命児」の知られざる真実』を連載中。ツイッターで取材後記なども発信中。@yasuyuki_taka

【書誌情報】
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