阪神タイガース戦力分析2024
優勝メンバーが“ほぼ全員”残留!今季も優勝候補筆頭か?
2023年、球団としては18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に輝いた阪神タイガース。就任1年目の岡田彰布監督のもと、セ・5球団を寄せ付けない圧巻の強さを見せ、独走で頂点へと駆け抜けたその戦力は今季も「継続」できていると見ていい。
球団史上初となる連覇に向け、目立った戦力の流出はなし。あえて挙げるとすれば巨人へと移籍したカイル・ケラー、馬場皐輔の2投手くらいだが、2人合わせても昨季の登板イニングは48回1/3。この程度の“穴”であれば層の厚い阪神投手陣がすぐに埋めてくれるはずだ。
戦力流出がなかったぶん、新たな補強にも積極的ではなかったのが今季の阪神の特徴。ドラフトを除いた新入団選手は新外国人のハビー・ゲラと現役ドラフトの漆原大晟の2投手。あとは育成入団の外国人投手2名(ホセ・ベタンセス、アンソニー・マルティネス)のみ。野手に至ってはドラフト以外の補強はゼロだった。
ただ、これも裏を返せば現有戦力に対する自信の表れだ。昨季はスタメンをほぼ固定してシーズンを戦い抜いたが、野手レギュラー陣のほぼすべてが20代で、30代は「経験」がモノを言う捕手枠の梅野隆太郎、坂本誠志郎の2人くらい。近本光司、大山悠輔といったチームの“顔”は今年で30歳と、プロ野球選手としては脂の乗り切った時期を迎える。若手にも今季4年目の佐藤輝明、昨季ルーキーながらスタメンを勝ち取った森下翔太といった面々が並ぶ。昨季はシェルドン・ノイジー、ヨハン・ミエセスの2外国人野手が「助っ人」と呼ぶにはやや物足りない成績に終わったが、彼らを残留させてもう1年様子を見ることのできる“余裕”があるのも、日本人野手をチームの中心にドカッと据えることができるからこそ。
投手陣に目を向けると、さらに“盤石”と言える。先発陣は村上頌樹、伊藤将司、大竹耕太郎の「10勝トリオ」だけでなく、青柳晃洋、西勇輝といった実績十分のベテラン勢。さらには昨季8勝、防御率1.82の才木浩人と先発ローテ6人全員が2ケタ勝利を狙える面々。加えて、キャンプから猛アピールを続ける高卒2年目左腕・門別啓人も開幕ローテ入りに名乗りを挙げるなど、「先発ローテの担い手」がダブつくという他球団からしたら羨ましいことこの上ない状況にある。
リリーフ陣も湯浅京己の出遅れが気がかりだが、質、層ともにやはり他球団を凌ぐ。今春キャンプで村上頌樹に話を聞く機会があったが、「本当に少しでも気を抜けば一気に抜かれてしまう。そのくらい、良い投手が揃っています」と、昨季MVP&新人王右腕にそこまで言わしめる良質な投手陣が揃っている。
オープン戦ではなかなか「勝ち」がつかず、ファンをやきもきさせているが、百戦錬磨の岡田監督からすればそれすらも想定内だろう。シーズンが始まり、選手たちがしっかりと実力を発揮できれば今季もセ・リーグ優勝争いの中心を担うのは間違いない。
怖いのは故障者くらいだが、こればかりはアンコントロールの領域でもある。「+α」はいらない。選手たちが自分の仕事を完遂できれば、おのずと結果はついてくる。そう断言できるだけの戦力が、今季の阪神タイガースには揃っている。