東京五輪 バレーボール男子
初日から波乱!イランが優勝候補のポーランドを倒す
東京五輪の開会式が行われ、いくつかの国でバレーボールのインドア、ビーチの選手が旗手に抜擢された。翌日にはさっそく競技が始まったが、早くも優勝候補のポーランドに黒星が付くなど、波乱の幕開けとなった。
■バレーボール選手が各国で旗手を
前回のリオ五輪で優勝した男子ブラジルはブルーノ・レゼンデ選手、女子中国からはシュティ選手が母国の旗を掲げた。ブラジルは感染予防のために密を避け、旗手2人と役員2人だけの参加となったが、ブルーノと女子柔道のカトレイン・クアドロス選手がサンバのステップを披露するなど、心温まる入場行進となった。「本当に感激しました。何かとても高貴な感じです。とても名誉なことで、バレーボールが国民にとってどんなに大事であるか、国に対する気持ちや強い熱意、団体でやり抜くことの大切さなど様々な思いを純粋に表わせたと思います。この気持ちを言葉で表すのはとても難しいです」とブラジルバレーボール協会のインタビューに答えたように、ブルーノは本当に感激した様子だった。
他には、韓国、ドミニカ、ケニア、チュニジア、チリ、ドイツ、ROC(ロシア)もバレーボール、ビーチバレー選手が旗手を務めた。またイタリアのパオラ・エゴヌ選手は、ヨーロッパ大陸代表として他の大陸代表者と共に五輪旗を持って登場した。
■波乱の幕開け
開会式の翌日に早速、試合が始まった。今回は男子が先で、閉会式のある最終日は女子の決勝になる。初日に大金星を挙げたのはイランで、優勝候補のポーランドを3-2で倒した。先月行われたネーションズリーグでは、ロシア人の新監督ウラジミール・アレクノ氏とまだしっくりいっていない感じで、16チーム中⒓位の成績であった。五輪前にメンバーが発表されてからは、「五輪のためだけの雇われ者で、イランのことなど何もわかっていない」と外れたメンバーから非難されるなど、どこかぎくしゃくした感じがぬぐえなかった。
試合はイラン、ポーランドともミスが多く、最終セットもサーブミスが続くなどしたが、スパイカーが均等に点をあげたイランが最後まで粘り、アレクノ監督からも笑みが漏れる場面があった。試合後、アミル・ガフール選手は、「この様なタフな試合に勝てて、本当に幸せです。たとえ負けたとしても、イランファンは誇りに思ってくれると思います、私たちはすべてを出し切ったんですから」(FIVBのサイトより)と喜びを語った。ラリーポイント制になってからの五輪最長2時間37分となったこの試合が、きっと監督、スタッフ、選手がより団結するきっかけとなったことだろう。
■レゼンデ監督の厳しい批評
一方、初日の最終戦アメリカ対フランスは予想外の一方的な試合となった。アメリカのできを褒めるべきでもあるが、フランスの覇気が感じられない。五輪後にフランス代表を率いるブラジルのベルナルド・レゼンデ監督は、テレビのインタビューで、「フランスチームを引っ張るべきリーダーからエネルギーが感じられなかった」と手厳しい感想をのべた。A、B組とも初日の固さもあったのか、負けたチームの次戦の盛り返しに期待したい。
取材:ブラジル在住 唐木田 真里子
写真提供:1枚目/Julio Cesar Guimaraes/COB、2枚目/FIVB
情報提供『バレーボールマガジン』
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公開日:2021.07.27