東京五輪 バレー男子決勝戦のレポート
フランスがROC(ロシア)の反撃をかわし初の金メダル MVPはヌガペ 仏ティリ監督「おとぎ話のハッピーエンドのようです」
今回の五輪で代表監督を退き日本のパナソニックパンサーズ監督に専念するロラン・ティリ監督に最後の花道を飾れるようにと、初めて決勝に挑んだフランスが強豪ROC(ロシア)を破り、金メダルに輝いた。決勝戦で最多26得点を挙げたフランスのOHエアルヴィン・ヌガペがMVPに選ばれた。
■決勝戦 フランス3-2ROC(ロシア)
(25-23、25-17、21-25、21-25、15-12)
第1セットはROCが終始リードし、フランスが点差を縮められない。終盤、フランスのチャレンジでROCのアタックライン踏み越しが認められると、続いてSアントイーネ・ブリザードがサービスエース2本で22-22の同点に追いつく。OHヌガペのスパイク、最後はOHトレボール・クレベノのライン際のスパイクで25-23でフランスが先取する。第2セットはOHヌガペがチームをうまくリードし、19-⒓と大きく開く。ROCはサーブで相手のレセプションを崩したいが、逆にサーブミスが増えていく。ROCはフェイントを試みるも、逆に落ち際をフランスに押し込まれ得点につなげられない。OPジーン・パトリーのサービスエースもあり、2セット連取する。
第3セットは両チームとも必死にレシーブでつないでくる。フランスにサーブのミスが増え始める。ベテラン、OPマキシム・ミハイロフがレシーブすると、自ら大声でボールを呼びスパイクを決め、15-16とROCが逆転する。フランスは2枚替えでも流れを戻せず、サーブアウトでこのセットを落とす。第4セットはフランスが序盤リードするも、ROCのSパベル・パンコフのブロックで8-8と追いつく。ここからは両者、点を取りあう展開となるが、ROCの攻撃に対し、フランスは疲れからか動きが鈍くなる。ROCがブロックを決め、試合はファイナルセットへ。
第5セットは出だし、フランスのミスが続くが、ROCもサーブミス、ノーマークのパイプがアウトになるなどミスが出る。フランスOPパトリーがブロックアウト、サービスエースで13-11と離しにかかる。フランスのSアントイーネ・ブリザードがまさかのツーアタックを決め、最後はROCのスパイクがアウト。チャレンジを試みるが、判定は変わらず15-12でフランスが、セットカウント3-2で初の金メダルに輝いた。
■オリンピック・ドリームチーム
各ポジションの表彰選手は以下の通り。
MVPエアルヴィン・ヌガペ(フランス)
OH エアルヴィン・ヌガペ(フランス)、イーゴル・クリウカ(ROC)
MBバルテレミ・シネニエズ(フランス)、イワン・イアコフレフ(ROC)
OPマキシム・ミハイロフ(ROC)
S ルシアーノ・デ・セッコ(アルゼンチン)
L ジェニア・グレベニコフ(ROC)
■試合後のコメント(FIVB、FFVolleyのインタビューより)
フランス、ロラン・ティリ監督:おとぎ話のハッピーエンドのようです。2012年の7月、最初の練習の時に選手たちに言ったんです。「オリンピックにいつか行くんだ。毎日、そのことを忘れるな」と。ここまでの長い道のりにいつもそのことが頭にありました。そして最後に、自分は忍耐強く、才能あふれる選手たちを育てなければいけないと、言い聞かせました。でも今日、選手たちは才能があるだけじゃない、最高でした。予選リーグの出だしはよくありませんでした。忍耐と柔軟性を持って、可能性を信じていました。優勝できて、本当に奇跡です。素晴らしいことです。言葉が見つかりません。
フランス、OHエアルヴィン・ヌガペ:決勝に向けてしっかりメンタルを整えました。チームメイトが落ち着いていられるように、笑顔を絶やさないようにしました。今日はとてもいい気分でした。ROCに危うく自信を失われそうになりましたが、落ち着いて誰もが脱落しませんでした。あきらめなかったこと、それが勝敗を分けたと思います。
ROC、キャプテン、Sイゴール・コブザール:100%フランスが勝利に値します。予選リーグを通過するのはとても難しかったですが、彼らは厳しい相手に立ち向かい、勝ってきました。そして今日は私たちも打ち負かしました。より困難な道を行けば行くほど、勝利の喜びもより格別なものになると思います。
取材:ブラジル在住 唐木田 真里子
写真提供:FIVB
情報提供『バレーボールマガジン』
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公開日:2021.08.09