がっつり!プロ野球厳選ライター陣が贔屓球団の今季を綴る”私的コラム”俺と12球団と2021年
プロ野球12球団、それぞれを愛してやまない書き手たちに、喜びや悲しみ、怒りなど思いの丈を思いっきりぶちまけてもらうこの企画。お待たせしました!2年ぶりの復活です!果たして2021年の書き手たちは、どんな〝思い〞を綴るのか
俺とドラゴンズと2021年/書き手・篠木壮
●立浪監督とブライト健太って合うのかな……
2021年、中日ドラゴンズは55勝71敗17分でセ・リーグ5位に終わった。来季、借金のチームがいきなり飛躍するためには、相当なカンフル剤が必要となる。そんな状況下で与田剛監督の後を継ぎ、新監督に就任したのがミスタードラゴンズ・立浪和義だ。現役通算2480安打、NPB記録487本の二塁打を記録した男が、ついに指導者としてドラゴンズに帰ってきた。
とはいえ、ファン目線でどこまで立浪新監督に期待しているかというと、正直言って懐疑的なのも確かだ。 遠く離れた北海道ではキャラが真逆の新庄“BIGBOSS”がメディアを席捲。チーム状態はドラゴンズ並みに悲惨なはずなのに、なんでたった一人の監督就任であれだけ希望に満ち溢れることができるのだろうか。選手としての実績も、言ったら悪いが立浪さんのほうが上。これが“負け癖”がついたドラゴンズファンの性なのかと、少しだけさみしくなる。
噂によると、立浪監督はチーム内に「茶髪、ヒゲ禁止令」を発令したらしい。別に、それで勝てるのであればファンとしては大賛成だ。あのノムさんだって同じく茶髪やヒゲを禁止してヤクルトを強くしたし、巨人も伝統的に「長髪」「ヒゲ」を禁止しながらコンスタントに優勝を重ねている。 ただ、身だしなみを整えただけで勝てるほど、プロ野球が甘くないのは誰もが知っていること。問題は「戦力」。しかも、ドラゴンズの場合は「攻撃陣」と課題は明白だ。
チーム防御率3.22はリーグ1位。次期エース候補筆頭格だった柳裕也は最優秀防御率と最多奪三振の二冠を獲得し、ここに大野雄大が本調子を取り戻して小笠原慎之介がさらに成長すれば、球界屈指の「3本柱」が形成される。リリーフ陣も又吉克樹、福敬登、祖父江大輔、ライデル・マルティネス、藤嶋健人、谷元圭介と人材豊富。多少故障で離脱しても十分補える分厚い層を誇っている。
しかし、一方の「打線」はというと、チーム打率・237、本塁打69本ともにリーグワースト。特に本塁打は5位阪神の121本に50本以上の差をつけられている。長打に関してはビシエドひとりに頼りっぱなしなのが現状で、とりあえずオフにはもう1~2人、ドミニカンの大砲候補を獲得してほしい。ドラフト戦略を見ても、明らかに「打」に偏重。1位のブライト健太は身体能力に優れ、ハマった時のパワーは抜群らしい。阪神の佐藤輝明クラスとまではいわないが、1年目に15本くらいかっ飛ばしてくれたら言うことなしだ。
しかし、ここで大きな懸念が生まれる。果たして、新監督・立浪和義とブライト健太の“相性”はどうなのだろう? 情報では大学時代に寮を脱走したことがあるらしい。高校時代も強豪校でプレーしていたわけではなく、「厳しい環境」に身を置いた経験が少ないのが気がかりだ。ルーキーがいきなり「茶髪」「ヒゲ」に手を染めたがるとは思えないが、いかにも「自由人」っぽい逸材を立浪新監督がどう育成するのか……。とはいえ、我々ファンは就任1年目からいきなり「優勝」を望んでいるわけではない。ただ、せめて「可能性」は見せてほしい。頼みますよ! 立浪和義新監督!
書き手・篠木壮
1982年生まれ、愛知県名古屋市出身。幼少期から家族の影響で中日ファンに。生まれてから現在に至るまで、名古屋市以外に住んだことがない。中日ファンクラブにはかれこれ20年以上入会を継続しているが、近年はチームの低迷とともにナゴヤドームへ足を運ぶ回数が減ってきているのを自省する毎日。
出典:『がっつり! プロ野球(30)』
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公開日:2022.01.26