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「誰もが羨む潜在能力」開花でオリックスリーグ優勝に大きく貢献した宗佑磨

Text:どら増田

がっつり!プロ野球厳選ライター陣が贔屓球団の今季を綴る”私的コラム”俺と12球団と2021年

プロ野球12球団、それぞれを愛してやまない書き手たちに、喜びや悲しみ、怒りなど思いの丈を思いっきりぶちまけてもらうこの企画。お待たせしました!2年ぶりの復活です!果たして2021年の書き手たちは、どんな〝思い〞を綴るのか

俺とバファローズと2021年/書き手・どら増田

●大きな飛躍を遂げた優勝のキーマン・宗
2年連続最下位だったオリックスを優勝に導いた一人として、宗佑磨の名を挙げる人は少なくないだろう。2014年のドラフト位で横浜隼人高からオリックスに入団した宗は、1年目からケガに苦しんで来た。近未来のレギュラー内野手として期待されたが、最初に注目されたのは4年目の2018年。春季キャンプ最終クールから1軍に合流し、内野から外野にコンバートされると、オープン戦で13試合に出場し、打率.306、4本塁打、出塁率.370という好成績を収め、1番センターで開幕スタメンの座を射止めた。シーズン中、またもやケガに泣かされ離脱したが74試合に出場している。2019年は内野手から外野手に登録を変更したが、打撃に苦しむ。

今シーズンは自主トレ中に脚を痛めてしまいキャンプには参加出来ず、リハビリに集中した。だが本人は「開幕には間に合います」と開幕に照準を絞っており、その言葉どおり、オープン戦終盤に1軍に昇格すると、三塁手としてのプレーが評価され、開幕1軍だけじゃなく、三塁手でスタメンの座も勝ち取っている。守備面では、今年のゴールデングラブ賞最有力選手と言われるほどスーパープレーを連発。ピッチャーを救って来た。宗の獲得に尽力した加藤康幸元編成部長が語っていた「誰もが羨む潜在能力」が開花した形だ。

成長したのは守備だけじゃない。打撃では福田周平との1、2番コンビが定着。3番の吉田正尚へと繋ぐ気持ちで、1、2番コンビが揃って規定打席に到達する活躍を見せたため、チームに勢いがついたのは言うまでもない。「なんとか塁に出ようという気持ち」がホームランや勝ち越し打、サヨナラ打になることも多かった。優勝争いを繰り広げていたシーズン終盤はチャンスで凡退した悔しさから爆発した涙のホームランも見られるなど責任感も生まれた。

三塁手としては、ピッチャーがピンチに陥ると、マウンドへ駆け寄り声をかけており、寮生活も共にしていたエース山本由伸とは、日本シリーズまでお互いに声をかけ合っている場面が見受けられた。宗は守備に向かうたびに山本に「最後まで投げろよ」と発破をかけ、宗がエラーしてしまいベンチに戻る際に謝罪すると、山本は「大丈夫です」と言って、宗の背中をポンっと叩いていた。

シーズン中は「常に総力戦です」と口癖のように話しているが、コメントも真面目に答えることが増えてきた。2年目の紅林弘太郎ら後輩のライバルが現れたことも大きいのだろう。「日本一にはなれませんでしたが、人生においてとてもいい経験をすることができました。来年に活かせるようにまた頑張っていきたいと思います!」と日本シリーズが終わった直後、来シーズンに向けてさらなる成長を誓った宗の成長をまだまだ見守っていきたい。

書き手・どら増田
1973年生まれ。神奈川県出身。2014年秋からオリックス担当のライターとして活動。 2016年に書籍『ベースボールサミット オリックス・バファローズ』のメインライターに。現在はオリックスをはじめとしたプロ野球、プロレス、格闘技等をフリーで取材している。2018年には山本由伸と那須川天心の対談を実現させた。

出典:『がっつり! プロ野球(30)』

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