ヤクルトスワローズ戦力分析2024
打線は万全ならリーグ屈指も…投手陣の再建は急務
2021~2022年とリーグ連覇を達成。ディフェンディングチャンピオンとして球団史上初の3連覇を目指した昨季の東京ヤクルトスワローズ。開幕5連勝とスタートダッシュには成功したが、その後4月に7連敗、5月に8連敗、6月に6連敗と前半戦だけで大型連敗を三度も記録。結果、シーズン序盤以外は優勝争いに絡むことなく3年ぶりのBクラスとなるリーグ5位に沈んだ。
チーム打率.239はリーグ5位、同防御率3.66はリーグ最下位と投打で精彩を欠いたのが大きな敗因だが、もともとリーグ連覇を達成した2022年もチーム防御率はリーグ4位、失点数は同5位。不安定な投手陣を村上宗隆、山田哲人を中心とした強力打線がカバーする、というのが近年のヤクルトの“色”だったが昨季は投手陣の不振に打撃陣まで引っ張られてしまうバッドスパイラルから抜け出せなかった。
高津臣吾監督就任後は最下位→優勝→優勝→5位とまさに“ジェットコースター”のような浮き沈みを経験しているが、やはりコンスタントに結果を残すためには「投手陣の安定」が不可欠なのは間違いなさそうだ。
とはいえ、今季のヤクルト投手陣の顔触れを見ると、その不安はぬぐえていない。先発陣は昨季10勝のエース・小川泰弘、同7勝のサイスニードの二枚はほぼ当確も、WBCで世界一にも貢献した高橋奎二は昨季4勝と首脳陣の信頼を勝ち取ることはできなかった。通算200勝まであと15勝に迫る44歳の大ベテラン・石川雅規や小澤怜史、吉村貢司郎、新外国人のミゲル・ヤフーレなど「ローテ候補」は頭数こそ揃っているが、飛び抜けた存在がいないのが現状だ。加えて、開幕投手候補筆頭の小川が3月8日、阪神とのオープン戦登板を回避。開幕に間に合うかは不透明な状況だ。
リリーフ陣は木澤尚文、清水昇、田口麗斗が中心になるが、守護神・田口が下半身のコンディション不良で出遅れ。開幕には間に合う見込みだが不安が残るのも確かだ。西武からトレードで入団した宮川哲、ソフトバンクから移籍した嘉弥真新也といった新戦力もフル動員させる必要があるだろう。
一方の打撃陣は主力が本来の実力を発揮できればリーグ屈指の破壊力も期待できる。不動の4番・村上宗隆は昨季大不振に陥ったが、終わってみればチーム最多の31本塁打、84打点。出塁率.375も高水準で、「どれだけ不振でも30発は打てる」という格の違いを見せつけたとも言える。山田哲人も開幕時点で31歳と老け込むにはまだまだ早い。さらに昨季23本塁打のホセ・オスナ、同18本塁打のドミンゴ・サンタナ、下半身のコンディション不良で51試合出場にとどまった塩見泰隆といった面々がしっかりと働けば、昨季の二の舞は防げるはず。
若手の注目株は高卒4年目の内山壮真がブレイク候補筆頭。捕手登録ながら打撃を生かした外野起用も予想され、順当なら昨季の打率.229、6本塁打は楽々クリアできる能力を持つ。巨人から現役ドラフトで入団した北村拓己もオープン戦で結果を残し、移籍1年目からレギュラー定着を狙っている。
昨季の悔しさを晴らすためには、投打で上積みが不可欠。特に懸念される投手陣は立て直しが急務で、高津監督だけでなく伊藤智仁、石井弘寿両コーチの手腕にも期待がかかる。とはいえ、今季も引き続き「打高投低」の布陣になるのは間違いなさそうだ。