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埼玉西武ライオンズ・レディースの存在意義の大きさ

Text:花田雪

転換期を迎える女子野球で
ライオンズ・レディースが担う役割

 近年、競技人口も増加し、それに伴って高校、の部活やクラブチームなども徐々に増えつつある女子野球は今、大きな転換期を迎えている。
2010年に開幕した女子プロ野球は、昨季で10周年を迎えた。「女子野球」の知名度、レベル向上への貢献度は高いが、2020年現在、女子野球界の「トップレベル」が全員プロに集結しているかというと、決してそうではない。

 昨季まで7年間、女子プロ野球でプレーし、最多打点、最多勝利打点、ベストナインなどの受賞経験を誇る山崎まりも、今季はプロを退団して埼玉西武ライオンズ・レディースでプレーしている。

 男子野球がNPBを頂点にしたピラミッド構造なのに対して、女子野球のそれは、やや歪な形になっていると言わざるをえない。この現状に、山崎自身も危機感を感じているという。

「女子野球選手が全員、『プロを目指せる』状況かというと、決してそうではない。目標が明確でないと、プレーを続けるモチベーションを維持することが難しくなってしまうので、そこはこれからの課題だと思います。私は今季からライオンズ・レディースに所属していますが、NPB球団と同じチーム名、同じユニフォームでプレーできることは、これからの女子野球にとって大きな可能性を感じますし、同時に責任もあるなと痛感しています。」

「ライオンズさんには『チームを作ってよかった』と、NPBの他球団には『うちも女子野球チームを作ろうかな』と思ってもらえるような、そんなプレーを見せなければいけない」

1期生としての責任

 創設1年目の今季はコロナ禍で春先から全体練習ができない時期も続いたが、それでも周囲の反響の大きさは感じている。

「ライオンズファンの方が女子野球にも興味を持ってくれて、練習を見に来てくれることもあります。まだチームのグッズも販売されていないのに、わざわざライオンズのユニフォームを買って、手作りのレプリカユニフォームを作ってくださる方もいました。そういう期待にも、こたえなきゃいけないですよね」

 転換期を迎える女子野球にとって、ライオンズ・レディースの存在意義は大きい。彼女が語るように、今後も(※)NPB球団が女子野球に参入するようなことがあれば、女子野球の認知度、人気は飛躍的に向上するはずだ。

「1期生として、責任は重大ですね」

そう問いかけると、彼女は笑顔を見せながらも「はい、そうですね!」と力強い口調でこたえてくれた。

(※編集部注:このインタビュー後、阪神タイガースが来季、女子硬式野球クラブチームの創設を発表)