スポーツ選手には年齢に合わせたコンディショニングが重要な理由とは！？【廣戸聡一ブレインノート】

成長するということ

●昨日の自分より0.1％でも上げていく
昨日の自分よりも１％、0.1％でもいいから何か自己評価を上げられる努力をすることが大切です。それは、外からの評価ではなく、自分に向き合う中で、今の自分に何が足りないかを理解し、目標設定をしていくということです。ただし、自分が自分を理解するということは、なかなかうまくいくものではないということも認識しなくてはなりません。たとえば、体重を増やすために１週間トレーニングをしたとしても、そうそう変化するものではありません。今は情報があふれていますから、少しやって結果が出ないと何らかの方法論を手に入れ「要領よくやろう」という気持ちに傾くことがあると思います。

しかし、それではかえって時間がかかってしまうものなのです。身体が「回復する」「成長する」ということは、自然の摂理で決まっていることです。それを自分のものにしようとすることで、思い通りにいかないという挫折パターンになることが多いのです。これでは、理想が妄想になっているのと同じこと。他人の成功例を自分に置き換えて成長すると思い込んでしまっては、目標を達成することは到底できません。大切なのは、うまくいかないことも前提にして、「なぜできないか」を含めて自分が決断することなのです。

●年齢に合わせたコンディショニング
年齢を重ねて大人になれば、トレーニングやコンディショニングの内容が若い頃と違ったものになるのは必然的なことです。そしてこのとき、今の自分にとって何が必要なのかを見極めることが重要です。健康のために食事に気をつけるように、練習の仕方にも気を遣いましょう。若い頃と同じ内容をこなしていたら、ケガや故障のリスクが高まることにつながります。

また、年齢を重ねるほど「いかに自分のタイプ通りに身体を動かすか」が重要になります。自分のタイプの特性を生かすということは、それだけスムーズに身体を動かせるということだからです。先にも名前を挙げた、日本を代表する世界的なパワーリフターの三土手氏は現在、競技者から指導者へと活躍の場を変えられています。世界記録と世界一を手にした頃の体重、体型はまさに常人離れ、世界のためのそれでした。そんな彼が指導者に転身後、コツコツとダイエットを始めたのです。

そこで私は、彼の骨格を“常人的”にするために再生を始めました。世の中に若い絶頂期に素晴らしい戦歴を残された方々は山ほどおられます。が、その晩年は厳しい戦いのダメージに襲われ、体調は常人に劣る方も山ほどおられるのが実状です。そうです、三土手氏は、超人的な競技者の身体から健康的な指導者への身体へと再生中なのです。もう既に身体の協応性が向上したため、数十年「筋肉が邪魔してできない」と言っていた柔軟のポーズを苦もなく普通に行っておられます。

【書誌情報】
『廣戸聡一　ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者：廣戸聡一

「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書！