正しいポジションを取る
ポジショナルプレーを実践するには、各選手がどこにポジションを取ると優位性を獲得することができるかを理解することが鍵となる。その優位性を獲得することができる位置が正しいポジションであり、その位置はボールがどこにあるかによって変わるが、基本的に正しいポジションは相手の背後(視野外)にポジションを取ることである。正しいポジションを取った選手にボールを渡すための手段が「静的な配置」と「動的な配置」である。下の4つの優位性のうち、相手の背後(視野外)にポジションを取る選手が位置的優位であり、正しいポジションを獲得している。
ポジショナルプレーの鍵となる要素は、各選手が相手の背後(視野外)にポジションを取ることである。数的優位も重要だが、各選手が位置的優位を獲得すると数的優位と同様、もしくはそれ以上の効果がある。なぜなら、各選手が位置的優位を獲得すると、社会的感情の優位、質的優位にも役立つようになるからだ。このように攻撃側の選手が正しいポジションを取り、選手間の距離を15〜20メートル取ると、グラウンドに「スペース」が生み出され、オープンスペースがあるということはそこにプレーをする「時間」が存在する。
4つの優位性
ポジショナルプレーは位置的優位(相手の背後、視野外)を獲得するところから始まる。サッカーには位置的優位を含め4つの優位性がある。
●数的優位
●位置的優位
●社会的感情の優位
●質的優位
ポジショナルプレーは、これら4つの優位性を獲得しながらゴールチャンスを創造する。
【数的優位な状況】
すぐにプレーに参加できる選手が相手より多いと、相手より良いプレーが可能。
【位置的優位な状況】
位置的優位を獲得している選手は、相手の守備を無効化する。
【質的優位な状況】
選手は相手よりも効果的に技術的、戦術的手段を実行する。
【社会的感情が優位な状況】
直接的にプレーに参加する可能性のある選手間の連携(関係性)が相手よりも良い。
相手ペナルティエリア前では、その状況に適した距離を取ることが重要だ。相手の守備の密度が濃く、DFラインが下がり、相手DFラインの背後やライン間にスペースが見つけられない場合は、選手間の距離を15〜20メートル取ったとしてもスペースと時間を作り出すことは非常に難しい。そのような場合は、相手の守備組織に適した選手間の距離を取る必要がある。
例えば、攻撃側の選手がボール保持者を中心にサイドに密集して相手をボールサイドへ引きつけると、逆サイドにオープンスペースができ、素早くロングパスを逆サイドに展開し攻撃することができる。ボール保持者の近くに密集状況を作った時の選手間の距離は、その状況に適した距離である。ボール保持者から遠い逆サイドの選手間の距離を通常の15〜20メートル取ることで、逆サイドではスペースと時間が作り出される。
『著名人の言葉』
ペップ・グアルディオラ(マンチェスターシティFC監督)
「正しいポジションを取らなければならない。その位置はボールがどこにあるかによって変わる。」
出典:『ダイヤモンドオフェンス サッカーの新常識 ポジショナルプレー実践法』著/坂本圭
『ダイヤモンドオフェンス サッカーの新常識 ポジショナルプレー実践法』
著者:坂本圭
日本ではまだ珍しいサッカー攻撃の概念・ポジショナルプレーを取り入れた戦術書!!スペインのプロチームでコーチライセンスを獲得した著者が、サッカーを勉強したい学生や指導者、日本式ではなく世界のトップシーンで導入されている新しいサッカーの攻撃方法を実践したいと思っている方々のために、ポジショナルプレーを実践するための方法としてダイヤモンドオフェンスを伝授します。
公開日:2021.11.05