千葉ロッテマリーンズは今季、投手陣の活躍が目覚ましく4月29日時点でチーム防御率は驚異の1.99。そんな充実一途の投手陣に割って入るのではと期待されるのが、地元・習志野高卒の4年目右腕・古谷拓郎だ。今季序盤はファームで投球を続ける古谷拓郎に一軍への思い、そして自身の将来像を語ってもらった。
プロ3年間でフィジカル、体の強さが身についた
――プロ4年目を迎え、4月21日には22歳の誕生日を迎えました。プロ生活を振り返って、何か感じることはありますか。
古谷 プロでの3年間は、高校での3年間とは比べ物にならないくらい早かったですね。充実しているからこそだと思うんですけど、同時に「危機感」も持っています。来年は(大学に進学した)同級生もプロに入ってきますし、「やってやろう」という気持ちは特に今年、強くなっています。
――危機感があるということは、プロ入り時に思い描いていた「3年間」と現実の「3年間」が少し違ったからでしょうか。
古谷 イメージしていたプロ野球生活と実際の成長曲線を比べると、「全然違う」というわけではないんですけど、やはりプロはそんなに上手くいくモンじゃないな、というのは実感しています。
――特に足りないな、課題だなと感じている部分は?
古谷 課題はいっぱいあります。その中でも一番は先発として安定したピッチングを見せることです。そこが求められている部分でもありますし、自分の中でも少しでも安定感を高められるように取り組んでいます。
――逆に、3年間で一番成長した部分、手ごたえを感じている部分は?
古谷 フィジカル面や体の強さ、出力については高校時代よりもパワーアップしている実感はあります。ただ、「ここで勝負できる」と言い切れるものがないのも現実としてあるので、そこも含めて今年はもっと成長したいですね。
――トレーニングはプロに入ってから意識して取り組んできた。
古谷 もともと細かったので1年間を戦う身体づくりは常に念頭を置いてやっていました。高校入学時は身長が180センチで体重が65キロくらいしかなかったんです。そこから食事やウエートトレーニングで体を大きくして、卒業時にはプラス10キロくらい。ただ、プロではそれでもまだまだ細いので、プロに入ってからまた7キロくらいは体重が増えています。
――やはり、フィジカル面での成長は投手としてプラスになる?
古谷 今まで思いっきり投げて出ていた球速が、少し力を抑えても出るようになってきた部分はあります。高い出力を継続できるようになった部分は感じています。
――球速自体も高校時代より出るようになっていますよね?
古谷 そうですね。もちろん、球速だけを求めてはいないですけど、速くて損することはないというか。球速が上がれば多少甘くなってもファウルになってくれたり、特にコントロールで苦しんだ時は、精神的に楽になる部分はあると思います。
――プロ4年目を迎えた今、自分の一番の「武器」を教えてください。
古谷 変化球で緩急をつけられることです。僕はカーブがしっかり投げられるときはピッチングを組み立てられるタイプなので、そこの精度を上げることができれば打者を抑えることもできる。カーブは最初に覚えた変化球ですし、そのころから投げ方も変えていません。一番長く投げている球種なので、しっかり磨いていきたいです。
――ちなみに、今持っている球種は?
古谷 カーブ、スライダー、チェンジアップです。
――球種を増やしたいという気持ちはある?
古谷 もともと変化球がそこまで得意ではないので、まずは自分の持ち球のクオリティを上げることを考えています。「ゆくゆくは」という気持ちはありますけど、今すぐではないですね。
段階を踏んで自信をつけていきたい
――古谷投手はプロ2年目に一軍デビューを飾り、昨季はシーズン通して二軍で過ごされました。今、「一軍」に対してはどういう想いを持っていますか?
古谷 ……むずかしいですね(苦笑)。ずっと一軍で投げたいという思いはもちろんあります。今は、自分の現在地を見極めて、目の前のことをきっちりとこなす。まずは二軍で結果を残して、一軍に呼ばれて、少ない登板数でも結果を残して徐々に一軍での出番を増やす……。そんな感じで段階を踏んでコツコツやりながら自信をつけていきたいと考えています。
――ポジションは違いますが、ドラフト同期で同じ高卒入団の藤原恭大選手や山口航輝選手が一軍で活躍する姿は、そこまで気にしない?
古谷 悔しいというか、僕も同じ場所で戦いたいという気持ちはあります。ただ、比較しても仕方がない事ですし、そう思ったところですぐに一軍に上がれるわけではないので、焦らずに地に足付けて、自分のペースでやっていきたいと思います。
後半戦は一軍ローテに入って「初勝利」を目指したい
――古谷投手は千葉県出身。子供のころからマリーンズファンだったんですよね。
古谷 同級生にもファンが多くて、一緒にマリンに応援に行っていました。
――当時、好きだった選手は?
古谷 福浦和也さん、サブローさん、今江敏晃さん、里崎智也さん……。僕が中学生のころに活躍していた選手は特に思い入れが強いですね。
――見事に全員野手ですね(笑)。
古谷 マリーンズの「応援」が好きだったので(笑)。どうしてもピッチャーよりはバッターになってしまいますね。
――今のマリーンズで仲の良い選手は?
古谷 後輩だったら中森(俊介)、横山(陸人)はよく喋ります。先輩だと小島(和哉)さん、種市(篤暉)さんには良くしてもらっています。あとは(鈴木)昭汰さんもよくお風呂に誘ってくれます。
――インタビューを終わる前にひとつ聞きたかったんですけど、古谷投手のTwitterを見ると「BUNP OF CHICKEN」関連のツイートばかりなんですが、お好きなんですか?
古谷 メチャクチャ好きです。今からその話したら取材、終わらないと思います(笑)。BUNP OF CHICKENさんの曲しか聞かないので、最近の曲もほとんどわからないです。中学時代に聴き始めて、高校の友達にファンがいて、そこから一気にハマった感じですね。ただ、ライブは一度も行ったことがないんです。ライブ映像は死ぬほど見てるので、コロナ禍が収まったら絶対に行きたいですね。
――ありがとうございます!最後に今シーズンの目標、ファンの方に「自分のこういうピッチングを見てほしい」というアピールをお願いします。
古谷 まずはプロ初勝利をしたいという思いが強いです。後半戦からは一軍でローテに入れるようになるのが目標です。ファンの方には僕がマリンのマウンドに立って先発として投げている姿を見てほしいと思っています。応援、宜しくお願いします!
取材:2022年4月22日
インタビュー及び記事執筆:花田雪
協力:千葉ロッテマリーンズ
公開日:2022.05.01