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「自分の形を信じる」荻野貴司の教えで今季飛躍の千葉ロッテマリーンズ3年目、髙部瑛斗【ラブすぽ独占インタビュー】

千葉ロッテマリーンズで今季開幕戦から出場を続け、チームを牽引している3年目の25歳、髙部瑛斗。6月17日現在、盗塁21個は堂々のパ・リーグトップ、打率.272もチームトップを走る髙部瑛斗に飛躍の裏側と今後の抱負を聞いた。

3年目のブレイク、最大の理由は
メンタルを変えたこと

――開幕からスタメン出場が続いています。ブレイクと言っていいシーズンだと思いますが、ここまでを振り返ってください。

髙部 ここまで全試合出させて頂いて、昨年、一昨年とくらべるととても充実したシーズンを過ごせています。なにより自分の中で経験を積めているのが大きいです。

――1、2年目とくらべて、何が一番変化しましたか?

髙部 メンタル面が一番です。去年までは「やらなきゃいけない」という感じで焦っている部分があったんですけど、今年は自分がやるべきことだけにフォーカスできていると感じています。

――メンタル面の変化にはどういう要因があるのでしょう。

髙部 割り切れた、という表現が一番です。今も自分のプレーに自信はないですけど、「これでダメならしゃあないな」と思えるくらい、オフに自分を追い込むことができたので。

――技術的な部分で手応え、変化は感じますか。

髙部 バッティングで言うと、去年までは後手に回って「打ちにいけない自分」がいたんです。でも今年はどんな場面でもどういう形であっても「打ちにいく」ことができている。その上で良い結果も悪い結果も出るんですけど、ようやく勝負できているなという実感はありますね。

――それもある意味では「メンタル」ですよね。

髙部 そうですね。気持ちの部分が技術にも影響していると思います。

――なにか「スイッチ」が入るようなキッカケがあった?

髙部 1~2年目まで本当に上手くいかなくて、もう今年ダメなら仕方ないから一気に変えてしまおうと思えたことが大きかったです。

――大学を卒業してプロ入りして、昨年までは「このままじゃダメだ」という危機感みたいなものがあった。

髙部 昨年まではもちろん、今でもあります。でもそういう「満足しない」部分が自分の強みだともあると思うし、その思いが大きくなっていることが結果にもつながっているのかなと。

――今季は1番での起用がほとんどですが、首脳陣からどんなことを期待されていると感じていますか?

髙部 まずは出塁すること。その上で、盗塁などで得点圏に進む。そうやって「点を取りやすい状況を作る」ことを求められていると思うので、自分でも意識してやっています。

――数字で意識する部分はやはり「出塁率」?

髙部 はい、特に1打席目は一番意識しています。

――現時点(※取材時点)での出塁率.328という数字はいかがですか?

髙部 もっと上げたいですね。満足できる数字ではないので求められる以上のモノを目指したいです。

――数字の話で言うと、盗塁数も飛躍的に伸びています。出場機会が増えたことはもちろんですが、それいがいに要因はありますか?

髙部 ピッチャーのクセや雰囲気を見たり、場面に応じての「勘」みたいなものも身についてきたのかなと思います。スタートも思い切っていけている実感もあります。100%セーフだと確信できる場面はもちろんですけど、勝負どころでは「いっちゃえ!」という気持ちでスターを切れています。

――さすがにまだ、「盗塁王」は意識しないですか?

髙部 1年間戦ったことがないのでこれから身体にどんな変化が起こるかもわからないですし、正直先のことを考える余裕はないです。ただ、もしチャンスがあるのであれば(タイトルを)取りたいとは思います。

「自分の形を信じることが大事」
荻野貴司から教わったこと

――まだ開幕してから2カ月ほどしか経っていませんが、特に印象深いシーンなどはありますか?

髙部 いわゆる良い場面ってあまり心に残らないんです。むしろ、「ここで打ちたかったな」「ここで走れたな」「ここで捕りたかったな」という「もっとやれたのに」というシーンばかり憶えています。そういう部分を少しでも減らしたいと思いながらプレーしていますし、日本ハム戦でのエラー(※編集部注:今年の4月6日。同点の9回裏にフライを捕れず、サヨナラを許したシーン)もそうですけど、ああいうエラーからでも少しずつ良くなれているかなという実感があります。

――同じミスは繰り返したくない。

髙部 本当に繰り返したくないです。もちろん、100%は無理ですけど、少しでもそれに近づけるようにと思っています。

――チーム内には同世代や年下のライバルもたくさんいます。意識はしますか?

髙部 昨年までは意識しました。ただ、自分が出たときにダメだったら結局は意味がないので、ライバルですけどあまり周りのことは考えずに自分のことだけに集中する。その方が結果が出るとも思っています。

――昨季までと違って試合に出続けるシーズン、キツくはないですか?

髙部 もちろん、しんどいなって思うことはあります。もともと体重が減りやすいので、食事も含めた体重管理がこれから夏場を迎えるにあたっての課題だと思っています。現時点で、キャンプインから4キロくらい減っていますし、なるべく減らさないように意識しないといけないですね。

――先ほど「ライバル」の話を伺いましたが、チームには頼れる先輩もたくさんいます。何か心に残るアドバイス、力になった言葉があれば教えてください。

髙部 みなさんよくしてくれるんですけど、特に荻野(貴司)さんには1年目からいろいろ話をしてもらっていて、その中でも「自分の形を信じてやることが一番大事だと思うよ」という言葉がすごく力になっています。

――髙部選手の「自分の形」とは?

髙部 本能的に動くことですね。考えすぎると体が上手く動かないですし、自分がやることだけを考えて「本能的」に動く。自分の感覚を信じてプレーするようにしています。

――少し話がそれるのですが……お兄さんがTwitter上で応援ツイートをよくつぶやいていますよね?

髙部 美容師をやっていて、いつも髪の毛を切ってもらっています。1歳上で、兄も野球をやっていて僕よりずっと上手かったんです。それもあって、いつも応援してくれていますし、身近にそういう存在がいるのはすごくありがたいです。

―あまり似ていないですよね?

髙部 めちゃくちゃ似てないです(笑)。一緒にいても友達にしか見られないですね。

――ありがとうございます!最後に今季の抱負と、現在ファン投票でも上位につけているオールスターへの想いをぜひお願いします。

髙部 僕自身は“走攻守”トータルで働かなければいけない選手なので、一日一日、良いプレーを見せて少しでもチームに貢献したいです。その上で、チームにとっても僕自身にとっても良いシーズンになれるように頑張りたいですし、もしオールスターに出られたら精いっぱいプレーするので、応援よろしくお願いします!

取材:2022年6月9日
インタビュー及び記事執筆:花田雪
協力:千葉ロッテマリーンズ