Bリーグ新リーグ解説② 〈オンザコートフリー〉
開幕9シーズン目を迎えた国内プロバスケットボール・Bリーグ。今やその人気はプロ野球やJリーグといった“メジャースポーツ”にも引けを取らないレベルまで到達し、強豪クラブのチケットは入手困難になるほど。しかし、Bリーグはこれからさらなる進化を遂げます。2年後の2026‐27シーズンからは「B.革新」の名のもと、新リーグへと移行。『ラブすぽ』では今回、生まれ変わるBリーグが一体どんな形になるのか、解説していきます!
【全3回の第2回】
オンザコートフリーで日本バスケが激変!?
2年後の2026‐27シーズンに開幕する新リーグのトップカテゴリにあたる「B.LEAGUE PREMIER(B.PUREMIER)」では、現在のB1からいくつかのレギュレーション変更が行われます。その中でもファンに驚きを与えたのが「オンザコート フリー」です。「オンザコート」とは、1試合で外国籍選手が試合に出場できる人数を制限するもので、現行ルールは以下になります。
【登録選手】
外国籍選手 最大3名
帰化選手orアジア特別枠 最大1名
【出場選手】
外国籍選手 最大2名
帰化選手orアジア特別枠 最大1名
現在のB1では同時に出場できる外国籍選手の人数が最大3名(うち1名はアジアor帰化選手)で、日本人選手は少なくとも2名、つねにコート上でプレーできるルールとなっています。
しかし、「B.PREMIER」では「出場選手」の枠が撤廃され、登録されている選手であれば、制限なく試合に出場することが可能になります。つまり、コート上で外国籍選手3名と帰化選手(もしくはアジア特別枠選手)の4名がプレーすることが可能になるのです。同時にこれは、日本人選手が1名しか試合に出場できない可能性があるということ。
バスケットボールは1試合のプレータイムをベンチ入りした選手でシェアするスポーツなので、当然ながら1試合通して日本人が1名しかプレーしない、ということではありません。ただ、「B.PREMIER」ではこれまで以上に外国籍選手のプレータイムが増えることは、ほぼ間違いないと言えるでしょう。
こういったレギュレーションの変更には、当然ながら一部で「日本人選手のプレータイムが奪われてしまう=日本人選手のレベルが上がらないのでは?」という意見もあります。外国籍選手頼りのチーム作りをするクラブが出てくる可能性も、当然ながら否定できません。ただ、Bリーグでは過去にもオンザコートルールを緩め、外国籍選手のプレータイムや人数を増やしてきた歴史があります。その結果、「日本人選手のレベルが上がらなかった」かと言われると、決してそうではありません。
もちろん、プレータイムを確保するためにはこれまで以上に熾烈な競争が生まれるはずです。外国籍選手との争いに勝って、プレータイムを掴む――。結果としてそれが、日本バスケ界のレベルアップ向上につながる。これが、「オンザコートフリー」の狙いなのは間違いないでしょう。
もちろん、プレータイムを脅かされるかもしれない選手たちにとっては死活問題でもあります。ある意味でリーグ側は自国の選手に対し、厳しい条件を突きつけたと言ってもいいかもしれません。ただ、リーグ全体がよりグローバル化し、相乗効果で日本人選手のレベルも上がれば、Bリーグが目指す「ワールドクラスのプロリーグ」にも必ず近づけるはず。
それと同時に、各クラブの補強方針も大きく変わってくるはずです。実際、オンザコートルールが現在よりも強く制限されていたBリーグ開幕当初は、ほとんどのクラブが外国籍選手の枠をパワーフォワード、センターを中心とした「ビッグマン」に割いていました。それが、オンザコートルール緩和と同時に徐々にポイントガード、シューティーングガードと言った「スピードとスキルを持つ選手」に枠を割くクラブが増えてきた歴史があります。
オンザコートフリーにより、「外国籍選手」のイメージや補強戦略も大きく変わってくるはず。Bリーグで見ることのできるバスケがより、スピーディに、エキサイトに変貌するかもしれません。
【第3回へ続く】
文・花田雪
公開日:2025.02.27
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