中東で大量の石油がとれるのはなぜ?【図解 地理と経済の話】
砂漠はもともと海だった!
石油や軽油、ガソリンなどの石油製品のもとになる原油。日本はこの原油の輸入のほとんどを、アラブ首長国連邦やサウジアラビアなどの中東地域に頼っています。2024年2月の統計でも、原油輸入量の中東依存度は96.7%となっています。
このような経緯もあってか、日本から見て、中東の国々は産油国のイメージが強いでしょう。事実、OPEC(石油輸出国機構)の創立メンバーでもあるサウジアラビア、クウェートなどの中東の国々は、天然資源(石油)の開発が主要産業となっています。
ここで疑問なのが、なぜ中東の砂漠地帯から石油がたくさん出るのかということ。これには石油の成り立ちが関係しています。石油は海中のプランクトンなどの生物の死骸が堆積し、地熱や地圧によって長い時間をかけて変化してできたものと考えられています。ということはつまり、現在砂漠となっている中東地域は、太古の昔は海だったのです。
実際は、中東にかぎらず世界各地に石油の出る場所は存在します。現在はアメリカが原油生産量のトップ。また、OPEC加盟国に交じってロシアや中国も生産量上位にランクインしています。やはり埋蔵量の面で、国土の広さは無視できない要素のようです。
OPEC(石油輸出国機構)とは
現在(2024年)のOPEC 加盟国
欧米の国際石油資本(メジャー)に対抗し、5つの産油国が石油の価格維持・生産調整などを目的として1960年にOPECを結成。現在は、ロシアやメキシコほか非加盟国と連携した「OPEC+」というより広い枠組みになっている。
石油はどのようにしてできる?
石油はどうしてできるのか。現在有力なのが「生物由来説」だ。海中のプランクトンや植物などの生物の死骸が長期にわたって堆積。それが地熱や地圧により変質したものが石油という説である。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
著者:井田仁康
著者プロフィール
井田仁康:筑波大学名誉教授。博士(理学)。1958 年生まれ。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任し、日本地理学会理事。筑波大学第一学群自然学類卒。筑波大学大学院地球科学研究科単位取得退学。社会科教育・地理教育の研究を行っている。著書や編著書に『読むだけで世界地図が頭に入る本』(ダイヤモンド社)、『世界の今がわかる「地理」の本』(三笠書房)などがある
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昨今、地理的条件から政治を分析する「地政学」が注目を集めています。国土の形や立地、隣国との位置関係や気候などから、政治的・軍事的な影響を研究する学問で、世界情勢を紐解くうえで欠かせない考え方といえます。実は、地理は政治だけでなく、経済にも大きく関わっています。一見繋がりが見えにくい地理と経済の話ですが、
・インドでIT産業が特に発展したのはなぜ?・天然資源に恵まれたアフリカがなかなか成長できなかったのはなぜ?・中国やインドに続いて今後さらに伸びていく国はどこ?・中東で大量の石油が採れるのはなぜ? これらはすべて「地理」で説明ができます。今の世界情勢からこの先世界がどう動いていくかまで、世の中の流れがわかるようになる「経済地理学」が面白く学べる一冊です!
公開日:2024.10.06