不安や恐怖が痛みを呼ぶことも
腰痛が治りやすい人の特徴
患者さんの中には「病院に行けばどんな病気も100%治る」と思い込んでいる人がいます。確かに治療をするのは医師の役目ですが、元の健康な体に戻るかどうかは、患者さん自身の力によるところが大きいのです。
腰痛に関しても医師が注射を打ったり、薬を処方したりしても、本人の「自分で治すぞ」といった意志がなければ、病状は好転していきません。医師に頼りきり、任せきりにするのではなく、リハビリやセルフケア、生活習慣の改善など、「自分でできることは何でもやっていこう」という積極的かつ前向きな気持ちが大切です。
ちなみに、私はこれまで多くの患者さんと接してきましたが、楽観的な人のほうが治りも早いようです。痛みにおびえてばかりではなく、「明日になればよくなるかも?」くらいの大らかな気持ちが、回復の手助けになるのでしょう。
逆に、なかなか症状が改善しないタイプは、マイナス思考の強い人。「また痛みが出なければいいな、再発しなければいいな」など、常日頃から不安や恐怖にかられる後ろ向きのメンタルが、痛みを助長させてしまいます。極度に神経質な人も同じで、毎日の痛みの程度や症状をメモするなど、病気にナーバスになり過ぎて「ハマった状態」になるケースも目にしました。病気と向き合うのはいいことですが、度を越してとらわれないようにしたいものです。
「自分で治す」という意識が高く、セルフケアやリハビリにも積極的にとり組む。
「段々よくなる」 と楽観的に構えられる。
ポジティブ思考。
「今できることを無理なくやる」など、現状の能力を冷静に判断できる。
早く治したいならポジティブに
自分で不調を克服しようとする積極性のある人、多少の痛みがあっても前向きに病状をとらえられる人は治癒も早くなります。
出典:『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』著/吉原潔
【書誌情報】
『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』
著:吉原潔
今や4人に1人が悩んでいるとも言われる国民病である『腰痛』。ぶつけた、痛めた、ぎっくり腰といった原因がハッキリしている腰痛だけでなく、『脊柱管狭窄症』『椎間板ヘルニア』『ぎっくり腰』などによる痛みや、病院で検査しても特に異常が無いと言われるものまで、痛みの原因は多種多様にあります。しかし、そんな痛みに対して痛み止めや筋弛緩剤などの薬で対処療法だけをしていても根本の治癒にはなかなか繋がらないため、しっかりと『腰痛の原因』と向き合うことが大切です。本書ではそんな腰痛を治して、長い人生を痛み無く健康に過ごすために、『脊柱脊髄外科専門医』と『フィットネストレーナー』という2つの肩書を持つ腰痛の名医による、腰痛が治らない意外な原因と、骨と筋肉にアプローチする自宅でできる腰痛のセルフケア法を紹介します。
公開日:2023.07.03