遺伝子とDNAは同じもの?
遺伝子はDNAに存在するもの
遺伝について語るとき、必ず出てくる言葉のひとつに「DNA」があります。「遺伝子」と混同されがちなので、このふたつがどういった関係にあるのか説明しておきましょう。
DNAとは「デオキシリボ核酸」のことです。英語では「デオキシリボヌクレイクアシッド」といい、これを略したのが「DNA」です。
私たちのカラダを構成している、あらゆる細胞(赤血球は除く)には、中央に核という球体が存在しています。この核の中にDNAはしまいこまれていて、2本の鎖が互いにらせん状に絡まった形をしています。1本1本の鎖にはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4種類の「塩基」と呼ばれる成分が並んでいて、2本の鎖はAとT、GとCが向き合ってつながっています。
この4つの塩基の並び方によって、タンパク質のつくられ方が決まります。これらのタンパク質をつくるための遺伝情報を持っている部分が「遺伝子」で、それ以外の遺伝情報を持たない部分は遺伝子間領域などと呼ばれています。
じつは、DNAの約90%は、この遺伝子間領域が占めていると考えられていて、遺伝子はDNA上にポツンポツンと存在しています。つまり、「遺伝子」は「DNA」全体のほんのわずか一部分にすぎないのです。
ほとんどの細胞にDNAは存在する
ヒトの細胞
ヒトのカラダは約60兆個の細胞でできています。細胞の中央には核と呼ばれる球体があり、その中にDNAはしまいこまれています。
DNAの基本的な構造
DNAは2本の鎖がらせん状に絡み合った二重らせん構造になっていて、アデニン(A)とチミン(T)、グアニン(G)とシトシン(C)が互いに向き合ってつながっています。
遺伝子はDNAのわずか一部分
遺伝子間領域はDNA全体の約90%を占めますが、この部分がどのような役割を果たしているのか、まだよくわかっていません。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』著:安藤 寿康
【書誌情報】
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公開日:2024.11.02